更新日:2023年04月13日 01:54
エンタメ

<純烈物語>進むべく道に導いてくれた巨匠たち<第5回>

「会いたいと思う人が夢に出てくるんです、次は……」

 幼少の頃から馬好きが高じ、府中競馬場の近くへ住むようになったのはファンも知るところだが、引っ越す前の段階で前川も馬主であることを調べ上げていた。だから自分の夢を先に達成させている人物として、すり込まれたと自己分析する。 「僕は会いたいと思う人が夢に出てくるんです。その中で、まだお会いしたことがないのがタモリさんなんですけど……いつか必ず会えると思っているんですよね」  運命的な出逢いが本当にあるならば、酒井はその繰り返しだった。人がまた人を引き寄せ、パズルのようにつながり純烈という名の絵画を描いてきた。  デビュー前、仮にも唄を歌うのだからと戦隊モノの役者たちが三軒茶屋のスタジオでボイストレーニングを始める。そこはDVD制作に携わった映画プロデューサーの紹介だった。  ボイストレーニングは、当然ながら教えてくれる先生がいなければ成り立たない。とはいえ、それまでまったく違う畑にいたのだから頼めるような人脈がなかった。  すると、そのプロデューサーが「なんなら知り合いのボイストレーナーさんがいるから、つなごうか?」と助け舟を出してくれた。だが酒井によって集められたメンバーは、スタートの時点でクエスチョンマークがニョキニョキと頭をもたげてきた。 「紅白に出ようっていうから乗った話なのに……なんでこんなおばちゃんとやんなきゃいけないんだ? これで本当にデビューできるのかよ」  口にはせずとも、メンバーたちの顔にはそう書いてあったと酒井は振り返る。それでもトレーニングを続けるうちに、このおばちゃん……琴姫とはだんだん波長が合ってきた。 <彼らと出会ったのは3年前。元映画の戦隊ヒーロー(ライダー)を演じていた6人の俳優さんたちを歌謡コーラスグループでデビューさせたいのでと、ボイストレーニングの依頼を受けた。  初めてのレッスンでスタジオに入ると、それは長身(平均183㎝)で超イケメン揃い!これはイケル、すごい売れると直感したのと同時に日本は大丈夫、彼らは日本の代表!と感じてしまった。  なぜ、それほどまでにインスパイアされたのかわからないが、次々とイメージが湧き上がってきて彼らのための楽曲を何曲も書き上げた。『涙の銀座線』は、そうした中で一番最初に誕生いたしました。  琴姫が感じる「純烈」の強く美しいスピリットが日本のみならず、アジアそして世界に広がりますように>  琴姫はデビュー曲『涙の銀座線』の作曲を務めた人物。彼女は純烈がまだ海のものとも山のもとも知れぬ2010年6月23日(発売日)の時点でブログにそう綴っている。 「最初、鹿島潤さんたちに書いてもらった詩を琴姫さんに渡して曲を書いてくださいと依頼したんですけど、これが6分ぐらいの超大作で。なんでこんなに長くなったのかと聞いたら『私は旦那が作詞家なんですが、人様が一生懸命考えた歌詞を削るわけにはいかないっていう気持ちになるの』って言うんです。それで、よろしければこちらでもっとシャープなものにするからということでお願いしたら、4分26秒のまとまったものになった」  琴姫を通じての縁(えにし)はさらに続く。2枚目のシングルをリリースするさいに「ウチの水木が純烈の詩を書きたがっているんだけど」と言ってきた。「そういえば旦那さんは作詞家だって言っていたな。どんなおっさんなんだ?」と思い、聞いたばかりの名前 “水木れいじ”を検索するや、酒井はイスに座ったまま後ろへひっくり返りそうになった。
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琴姫さんの旦那さんはまさかの……
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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