更新日:2019年12月30日 02:44
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<純烈物語>応援されるためにはうまくなりすぎない「白と黒とハッピー」<第3回>

「白と黒とハッピー~純烈物語」<第3回>

セットリストは一期一会の一発勝負 「うまくなりすぎると応援されない」  ムード歌謡グループでありながらトークの話を先に書いてしまったが、純烈の要はやはり歌である。いくら話が面白いといってもそれだけを生業とする集団だったら、世間的ポジションもファンの質も今と違っていたはずだ。  デビュー前に酒井一圭が描いていたのは、もっと音楽重視のグループだった。子役として主演デビューした『逆転あばれはっちゃく』のギャラで、普通の小学生ならば親にねだっても買えないような高性能のステレオを手に入れたのが音に関する原体験。  すさまじいまでのクリアなサウンドに「こんなにいい音だったら、クラシックやビートルズのような定番でちゃんとしたものを聴こう」と子ども心に思い、耳を養った。比較的音楽が身近にある人生を送ってきたとあれば、いよいよそれを職業とするとなった時に本格志向となるのも当然の流れである。  ところが契約前の段階でユニバーサルミュージックから「戦隊モノに出ていて、大きくてカッコいい人たちでメンバーを揃えてください。ハーモニーとかよりもその方がわかりやすいし、こっちもやりやすいんです」と、オーダーを出された。これにより酒井は、頭の中へ描いていた布陣を練り直すこととなる。  人員が変われば、当初に描いていた方向性も軌道修正される。まずはレコード会社のリクエスト通りに『忍風戦隊ハリケンジャー』のカブトライジャー役でデビューし、イケメンヒーローブームの立役者となった白川裕二郎と『仮面ライダー龍騎』のメインキャラクター・仮面ライダーゾルダー役を務めた小田井涼平をファミレスのドリンクバーで釣った。  さらに2016年まで在籍した初期メンバーの林田達也、白川と小田井同様現メンバーの後上翔太、そして引退した友井雄亮を加えた6人編成のグループとなり、はじめの一歩を踏み出す。  酒井と友井を含む4人は俳優、林田はヴィジュアル系ロックバンド『Blue-B』のヴォーカル、後上にいたっては東京理科大在学の学生で、歌謡曲の経験者は皆無。とりあえず三軒茶屋のスタジオでボイストレーニングを始め、ユニバーサルを含む数社のレコード会社に品定めをしてもらったが、みんな「歌がヘタで話にならない」とため息を残し帰っていった。 「結局、ユニバーサルが拾ってくれたのも歌を評価してではなく『涙の銀座線』(デビュー曲)でいこうと決めてプロダクションがお金を出して、ヘリコプターを飛ばして築地市場があったところでPVを撮って『踊るムード歌謡っていうのはこういうことなんです!』と説明して。やっと『こういうことなら面白そうだな』ってなったんです。  私服で歌う姿を見てもらったところで、絵が浮かばないから何がやりたいかわからないですよね。スタジオで見られたのは、ヘンなおじさんがヘタクソな唄を歌っているところだけという」
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ムード歌謡で勝ちたい
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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