<純烈物語>「NHKホールでやるのが夢というよりも、NHKホールを特別な場にする」<第7回>
マッスルのテイストで舞台をやるなら、ササダンゴの脚本だけではなり得ない。そこに、どんどん話をかき回しつつストーリーを進めていく鶴見亜門の存在が不可欠なのだ。
じつはこの日、DDTは19時から春日部で大会があった。メインストリームに絡んでいないササダンゴはともかく、今林はAPとしてその場にいる必要がある。
第1部が終了するや、今林は誰に告げる間もなくNHKホールの楽屋を出て春日部の試合会場へと向かった。本当なら、純烈と一緒に夢をかなえた余韻に浸りながら酒井とも話したかったはず。
「惜しむらくは、春日部と被ったことでDDTの選手にオファーできなかったのが……本当なら、ディーノやアントンにもこの日の景色を見せたかったですよね。今林さんだけ、なんとか時間をつけてもらったけど、春日部に向かっちゃっているからどう思ったのか聞いていないし。あとで聞こうと思います」
第1部終演後にササダンゴが、そう明かした。ゲイレスリングの第一人者として高名な男色ディーノも、俳優・渡辺哲の実息であり2月のマッスル両国国技館でメインを務めたアントーニオ本多も、マッスルで酒井を触発させたエンターテイナーだった。
そこからさかのぼること1時間半ほど前。NHKホール内は3階席まであっという間に人で埋まっていた。四十代ぐらいのマダムに「今日は何をやると思いますか?」と振ってみる。
「純烈のことだから何かやってくるとは思います。でも、私は唄だけでなく純烈のやることそのものが面白いと思っているし、今まで見てきているのでちょっとのことじゃ驚きませんよ。純烈だったら、もしかしたら一曲も歌わずに終わることもあり得るだろうし。でも……本当にそうなっちゃったら白川(裕二郎)さんが歌っているところ見られないから、やっぱり困るわ」
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxt、facebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
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