更新日:2019年12月30日 02:41
エンタメ

<純烈物語>「NHKホールでやるのが夢というよりも、NHKホールを特別な場にする」<第7回>

「白と黒とハッピー~純烈物語」第7回

新マネジャーが酒井と小田井をクビに NHKホールでまさかの下ネタ  NHKホール――そこは、純烈が結成以来目標としてきた紅白歌合戦が生中継される会場である。昨年、初出場を果たし目の前に広がるその風景を心に刻んだわけだが、ほかにも同局の音楽番組『うたコン』にも出演し、何度となくその舞台を踏んできた。  つまり、今までは純烈以外の歌い手やアーティストのファンも客席に詰めかけていたわけで、それが純子と烈男のみで埋め尽くされたらまったく別モノに映るはず。紅白出場者全員でいっぱいにする会場が自分たちだけで満員になったら、自信にもつながる。  プロレスでいうところの初のビッグマッチ。最大公約数的発想に基づけば、これまで地道に積み重ねてきたことで培った、正統的な純烈スタイルのコンサートにするはずだ。  ファンも特別な場だからといって奇をてらった変化球を投げられるよりは、普段着の方が確実に楽しめる。ただ、その一方で年季の入ったファンは「純烈なら普通にやるはずがない」との勘が働く。 「僕の中では、NHKホールでやるのが夢というよりも、この座組でひとつのものを作りたかった。それができてこそ、NHKホールが特別な場になるんです。普段着でやった方が無難だし、初のワンマンということで色をつけるとしたら大物ゲストに来てもらうという手もあるでしょう。  でも、純烈をはじめる前からやりたかったことなんですよ。マッスルを一緒にやっていた人たちは、みんな売れる前から温かく見守ってくれて、それぞれのジャンルで活躍している。10年後ぐらいに純烈が売れて、みんなが培ったものを交わり合わせる日を提供できたらいいなと思い続けてやってきたんです。今までで一番大きいところでそれをやらなかったら、願い続けてきた意味がない」  芸能界に限らず、酒井一圭は舞台も映画もアンダーグラウンドなサブカルの世界も経験してきた。その中でプロレスに携わった期間に出逢った者たちが、どのジャンルよりも幅広かった。  本職がプロレスラーなのに物語の台本が書けたり、舞台役者なのに試合にも出たり、ブラジルの格闘技カポエイラの達人もいれば映像作家もいて、果てはその失踪歴からやたら人間力の強い男もいた。天才というよりも鬼才の集まりが「マッスル」だった。
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「いつかマッスルを世間のやつらにブチ込んでやろうぜ」
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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