更新日:2023年04月20日 12:19
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小泉進次郎の“危険性”。出世すれば米国が喜ぶだけだ/古谷経衡

実際にやっていることは父・純一郎の小型版

 進次郎が政治家としての薫陶を受けるのは、同大卒業後、コロンビア大学に留学し、ジョージ・R・パッカード氏に師事したことである。パッカード氏とは何者か。簡単に言えば、共和党寄りの知日派として知られる知識人だ。進次郎はこのパッカード氏のもとで修士号を取った後、帰国せずそのまま米国戦略国際問題研究所(CSIS)研究員としてワシントンD.C.に滞在する。  CSISは事実上、共和党寄りのシンクタンクである。進次郎はこのCSISで語学と共にアメリカ式の対日世界観(対米従属構造への帰依)を叩き込まれたのではないかと疑う。 「私の祖父(小泉純也氏)は防衛庁長官、私の父(純一郎氏)は総理で自衛隊の最高指揮官だった。地元横須賀も、今週末に新しい空母、ロナルド・レーガンが配備される。ますます私の地元横須賀は大きな位置を占める」(鈴木款著『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』扶桑社)。 ’15年に進次郎が記者団に語った言葉である。進次郎は現在無派閥で、前回総裁選で石破茂を応援するなど、父や安倍晋三が所属する清和会との距離を取る姿勢が見受けられるが、何のことはない、CSISで「洗脳」されて帰ってきたアメリカの手先、その実態は単なる矮小なタカ派の新自由主義者である。  進次郎には対米自立、まして日米地位協定改定というお題目は毛頭なく、その姿勢は徹頭徹尾アメリカに追従する旧来の清和会代議士の劣化版にすぎない。  進次郎は「攻めの農業」と豪語し、自民党の伝統的基盤であるJA全中を切り崩し、TPP合意に向け農協の「折伏」工作に奔走した。無色透明を装いつつ、実際にやっているのは父・純一郎の小型版である。この人が総理大臣になったら、米共和党は「極東に若くて父よりも従順なアメリカの傀儡が誕生した」とほくそ笑むだろう。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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