非モテをこじらせた陰キャの大学生二人、身勝手な復讐心からスカウトの道へ…
若者たちを中心に、学校などで目立たない存在を「陰キャ」と呼ぶようになって久しい。その一方で、恋愛やサークル活動など楽しい日々を過ごすリア充を「陽キャ」とも呼び、陰キャから目の敵とされることもあるようだ。なかには自嘲気味に陰キャを自称する人たちもいるが……。
丸橋勇太郎さん(20代・仮名)と佐々木駿さん(20代・仮名)は、共に都内の私大に通う3年生だ。しかし学校にはほとんど行かず、ふたりで“ビジネス”をして過ごす。見た目は今風の大学生。丸橋さんは髪を染め、細いグレーのダメージジーンズ、佐々木さんはゆるめのスケーターファッションという出で立ちだ。現在、多いときには月商3ケタを超えることもあるという。高度なIT知識などをもった、やり手の大学生かと思いきや……。
「いや、普通にスカウトっすね」(佐々木さん)
「街ではやんないっすよ。呑みとか、友達の紹介とか」(丸橋さん)
聞けばふたりは、互いに地方の進学校出身。大学に入学当初は女性とまともに話しすらしたことがない陰キャだったという。今の垢抜けた雰囲気からは想像もつかない。彼らは同人サークルに入部した際、意気投合したという。それから僅か2年ほど……いったい、何があったというのか?
「サークル内に付き合っていた女がいたんです。地味だけど、胸が大きくて、化粧すればめちゃめちゃ可愛いんじゃないかって、メンバーの誰もが密かに思っていた子。でも実は、俺の他に、佐々木とも付き合っていたんです。それだけじゃない、俺の後輩とも、別の同級生とも……」(丸橋さん)
「いわゆる”オタサーの姫”的な……いや、“サークルクラッシャー”っすね。それがきっかけで、サークルはめちゃくちゃになって、超険悪になった。丸橋とも最初は掴み合いの喧嘩をしました(笑)」(佐々木さん)
“オタサーの姫”とは、男性が多いオタク系サークルに所属する数少ない女性。そして、思わせぶりな言葉や態度で男性たちを翻弄し、次第に人間関係やサークルの崩壊を招いてしまう存在が“サークルクラッシャー”だ。
男性たちはそもそも趣味目的で集まったにもかかわらず、一人の女性を巡って喧嘩をはじめ、最後は分解してしまう。そのパターンに、ふたりが所属したサークルもハマってしまったらしい。
サークルの崩壊と同時に痛い失恋をしたことで、より友情が深まったというふたり。彼らはただでは起きなかったのだ。
「その子は俺たちにとって“初めての子”でした。正直イケてる女のコではなかったけど、俺らの中では取り合いになるほどだった。待てよ、と思ったんです。俺たちのいるようなレベルの低い世界だからこそ彼女はモテた。つまり、俺らも、もっと属する場のレベルを落とせばモテるんじゃないかと思って」(丸橋さん)
「“逆メジャー挑戦”って名付けました(笑)。超一流のアメリカ・メジャーリーグでパッとしなくても、日本や台湾、韓国リーグで活躍する野球選手ってたくさんいるじゃないですか。一流は無理だけど、二流や三流の世界ならガンガンやれるんじゃないかと」(佐々木さん)
かくして「逆メジャー挑戦」という理論を確立(?)させたふたり。様々なサークルに出入りしては、実際に「二軍・三軍の女のコと仲良くなった」(佐々木さん)らしい。
とはいえ、その根底にはふたりを裏切った女性への「恨み」があったこともあるという。
「気づいちゃったんですよね、俺らみたいな陰キャの世界で好き放題やっている女がいることに。やっぱり、悔しかったんですよね。俺たちだって、食われるだけじゃダメだ、逆に食ってやろうって。そしたらめちゃめちゃ自信がついて、格好も変わったし、ナンパもできるようになった」(佐々木さん)
「正直、人生変わったなって思います。身の丈にあったというか。それぞれの場所で輝く? みたいな」
こう話すのは、かつて陰キャだったという大学生のふたりだ。「それぞれの場所で輝く」とは、どういうことなのか。彼らが見つけたモテる理論とは?
大学デビューの「陰キャ」が見つけた輝ける場所とは?
ふたりを裏切った“サークルの姫”に「恨み」を抱いた
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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