更新日:2019年11月14日 11:57
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「発達障害を隠さずに働きたい」30代女性が絶望した、企業側の理解のなさ

企業側とは理解度にギャップがある

 ちなみに、発達障害者の場合、就労をするには大きく以下の3つのパターンがある。 1)障害者雇用・・・障害者雇用枠での就労 2)オープン就労・・・障害者雇用枠ではないが、障害をオープンにする形の就労 3)クローズ就労・・・障害者であることを隠した就労  田中さんの場合、当初はこの1の道を探っていた。だから就労移行支援事業所だけに頼らず、自分で積極的に求人を調べ「障害者雇用はやっていますか?」と、いくつもの会社に電話をかけたりメールを送信したという。 「返信はあったりなかったり。でも『ウチでは健常者も障害者の方も頑張って働いています!』みたいな返答をされ、いやいや、私は障害者雇用枠を探しているんですと、話が噛み合わないことが非常に多かったです。また、『東京の本社のみ障害者雇用をしています』という企業も大多数でした」  そして第2志望の某娯楽施設へ障害者雇用の募集について問い合わせると、メールのレスポンスが早く、これはイケそうだと感じたが……。 「履歴書の作成や配慮してほしい点など、支援所の方が添削してくださいました。それを持って面接に挑んだのですが、面接官が最初に発した言葉が『就労移行支援ってところに通ってるみたいだけど、これって何ですか?』で……。  えっ!?と気が抜けました。『どんな病気なんですか?』とか『薬を飲んでるんですか?』など聞かれたので、『症状がひどいときは落ち着きがなくなったり朝起きられなかったりします』などと説明しました。法律は変わったのに、まだまだ企業側の知識が追いついていないんでしょう」  結果、この企業は不採用だった。ここまでくるともう、障害者雇用の条件は捨てざるを得なくなった。彼女が徒歩圏内で通える場所に障害者雇用を取り入れている企業が少なすぎるのだ。同時にオープン就労での就活も行ったが、あまりの人事側の理解のなさに絶望した。
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クローズ就労として面接を開始
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フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ、。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)、『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)

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発達障害グレーゾーン

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