お化けを怖がる子供には、この連想が働いています。お化けがいるのは「廊下の曲がり角の先」や「階段の踊り場」といった、自分からは見えない部分です。その見えない部分について、「お化けがいるかもしれない、自分を待ち構えているかもしれない」と連想が働き、身動きが取れなくなります。 　高倉健がヨットで過ごすようになった心理にも、この連想が働いています。彼は港町に宿泊していて、「そんな暮らしがしたい」と連想しました。ポルトフィーノという港町の暮らしがどんなものなのかは、実際に暮らしている人にしかわかりません。しかし、高倉健に限らず誰でも、そうした「遠い憧れ」に駆られるから、前に進もうとします。 　高倉健が港町の生活に憧れ、船舶免許を取得するまでは十数年という時間がかかりました。このように心の変化が行動の変化に達するには、年単位の時間がかかります。その因果関係は普通にしていたら、まず把握できません。そのせいで、人生は糸の切れた凧のようになりがちです。 　マインドレコーディングは人物の影響を特定することで、人生をコントロールできるようにします。もし「自分の憧れを実現した体験」があるのなら、その時のことを思い出してみてください。自分の憧れの背景に、「憧れの人」がいたはずです。こうした「人物の影響」を自覚できるようになるほど、納得のいく人生が送れるようになります。 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』（扶桑社）が発売中