更新日:2023年05月18日 16:54
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「息子がスマホ依存症で会話もできません」女性44歳からの悩み相談

 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

息子がスマホ依存症で会話もできません

★相談者★金(ペンネーム) パート 女性 44歳  中学生になった息子にスマホを持たせてから、完全にスマホ依存症になってしまいました。食事中もテレビを見るときも、稀にお風呂に入るときもスマホを見ています。話しかけても、スマホを見ながらなので、目を合わせて話しません。
スマホ依存症

※写真はイメージ

 何度かきつく叱って取り上げたこともあったのですが、ついに先日、怒りが爆発したのか私に物を投げつけてきました。そのあとは部屋にこもってコミュニケーションがほとんど取れません。  どこの家族も同じような悩みを抱えているのですが、ウチの場合はレベルが違うと思います。今となってはスマホなんて持たせるんじゃなかったと後悔しています。どうするのが正解だったのでしょうか? 佐藤さん、教えてください。 ◆佐藤優の回答  あなたの息子さんはスマホ依存症になっているのだと思います。スマホやインターネットへの依存症は世界的規模で深刻な問題を引き起こしています。米国ジョージタウン大学のカル・ニューポート准教授がこんな指摘をしています。 =====  生活に受け入れた当初はそれぞれごく小さな役割しか担っていなかった新しいテクノロジーが、全体ではいつの間にかそれを大幅に超える存在になっていたという、より分厚い現実と正面から向き合ったとき初めて不安の理由が鮮明になる。 (中略)私たちが不安に思うのは、“コントロールを失いかけている”という感覚があるからだ。その感覚は、日々、さまざまに形を変えて表面化する。子供を風呂に入れていて、携帯電話が手の届かないところにあるとき。この瞬間を写真に記録してバーチャルな観客に見せなくてはという強烈な衝動に邪魔されて、いま目の前で起きているできごとをただ楽しむことができないとき。  有益かどうかは問題ではない。主体性が脅かされていることが問題なのだ。  となると、次に問うべき質問は、私たちはなぜこんな状態に陥ったのかということだろう。私が知るかぎり、日常のなかのオンラインで過ごす部分に振り回されている人々の大半は、意志が弱いわけではないし、愚かなわけでもない。順調なキャリアを歩むプロフェッショナルや勉学に励む学生、愛情に満ちた父親や母親ばかりだ。みな能力が高く、目標達成に向けて懸命に努力するのがふつうだと思っている。  ところが、日常のいろいろな場面で顔を出すほかの誘惑は退けられるのに、スマートフォンやタブレットのスクリーンの奥から手招きしているアプリやウェブサイトにはなぜか抵抗できず、本来の役割をはるかに超えて生活のあちこちに入りこまれてしまう。(『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』26~27頁) =====
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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