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書くのも歌うのも「自分のため」――作家と歌手それぞれの創作を語る<爪切男×ましのみ>

「爪さんの気持ちをわかった上で、自分の言葉で歌いたい」

理解できない異性は、いつでも一枚上手

ましのみ:こんなに褒めてもらっていいのかな。でも、私もこの作品に救われた読者のひとりなんです。この作品を読んだとき、真っ先に感情移入したのはアスカでした。彼女もシンガーソングライターだし、なんだかいつも余裕がない感じもそっくり。誰かに甘えてばかりで、誰かを優しく包み込むようなことができない。  実際、過去に爪さんのような、いつもニコニコしていて楽観的な人と付き合ったこともあります。一緒にいて安心するけど、同時にずっと不思議でした。だって、お互い同じ状況にいるのに、相手は私と違っていつも平気そうな顔をしているから。彼らが何を考えているのか、さっぱりわからなかった。  でも、今回作品を読んだことで、彼らの頭の中が少しわかったような気がする。こういう風に考えて「まあいいか」って思えているんだな、って。だからあの人たちは、あんなに優しかったのか、って。 :これ、よくいろんな人に言われるんですけど、僕は別に「優しく」はないんですよ。本当に。 ましのみ:優しい人ほど、「優しくない」って言いますよね? 私は、爪さんはとても優しい人に感じましたよ。 :作品はちょっと格好つけて書いてるところもあるから……。実際、彼女のことを大切にしていたことは事実だけど、その一方で風俗にもよく行っていたりしていたわけで、歌にある通り、「ろくでもない」奴なんです。 ましのみ:風俗の部分も、共感はできないけど、理解はできましたよ。よく、彼女がいるのに風俗に行く男性の話を聞くと、なんで彼女で満たされないんだろうって不可解だったけど、それとこれとはまた話が違うのかも、って思えた。作品に洗脳されただけかもしれないけど。 :でも結局、あの風俗のくだりもこっそり行っていたように書いているけど、別れたあとにアスカに聞いたら全部バレていたんですよね。 ましのみ:え、そうだったんですか!? :必ず風俗のあとはサウナに入って、ファブリーズもして、絶対にバレていないと思っていたのに、全部知ってたよって別れたあとに言われてしまった。 ましのみ:ファブリーズのせいじゃないですか。 :いや、歩き方と冷蔵庫の開け方が違うらしいんです。「あんなにノリノリで冷蔵庫の扉を開けるのは、風俗に行ったからとしか思えない」って。  でも、そうやって自分の一挙手一投足を見てくれていたことは、素直にありがたいなって。むしろ、自分はアスカのことをそれほどちゃんと見ることができていたのか、自信がない。僕にとっては、やっぱり女性はいつも一枚も二枚も上手なんですよね。 ましのみ:私は逆で、男性の方が一枚上手に感じるんですよ。 :そうですか? ましのみ:それこそ、私はアスカの立場で作品を読みましたけど、やっぱり爪さんのほうがずっと余裕があるように感じてしまう。それは作品を読む前はもっとそうでしたね。何を考えているかわからなかったから、異性をどこか神秘的な存在として見ていたのかもしれない。
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さらけだすことは、相手に溶け込んでいくこと
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