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ケンタッキーが絶好調。大戸屋と明暗分けたランチ戦争に注目

筆者近影

<いきなりフケーキ!>  これは、いきなりステーキを運営する株式会社ペッパーフードサービスが、先月14日に行った令和元年12月期連結決算発表を受けて、Twitterユーザーがツイートした文言です。  この言葉に象徴されるように、チェーン飲食店は浮き沈みがとても激しい業界です。たとえば、5年ほど前まで、急成長を遂げていたことで知られていた鳥貴族。  2017年10月に1品280円から298円への値上げしたことをきっかけに顧客が遠のいてしまいました。 【過去記事】⇒「吉野家が勝ち、鳥貴族は転落。2019外食チェーン戦争の勝者と敗者とは」  そんな“フケーキ”なニュースが目立つ中、外食業界で好調なのが日本KFCホールディングス(以下、ケンタッキー)です。  ケンタッキー? あの竹内まりやが12月にクリスマスの到来を告げるソングを流してるお店でしょ? 12月以外に需要があるの? そう思う方は、ここから始まる解説に驚くはずです。  ケンタッキーはなぜ勝っているのか? 私、馬渕磨理子がフライドチキンのように、サクッと3分でお届けしましょう。

ケンタッキーは“日常食”へシフト

 前述したように、クリスマスにしか用事のないお店、それがケンタッキーだと思っている方は驚くかもしれません。実は、最近のケンタッキーはランチや夜ごはんといった“日常食”として利用されるケースが増えており、それが新規客や常連客の来店頻度を上げ、利益がV字回復に結びついています。それは、テレビCMを見ても明らかです。  高畑充希さんが最後に口にするセリフは、「今日、ケンタッキーにしない?」。従来のキャッチコピーは「やっぱり、ケンタッキー」でした。  わずかなセリフの違いですが、両者で消費者に訴求したいメッセージは大きく異なります。日常の食事の選択肢としてケンタッキーを思い浮かべてほしい。そんな同社の意図は、財務諸表にもしっかり現れていました。  2年前まで、ケンタッキーの利益は最悪でした。  2018年の経常利益は6.2億円。過去最低水準まで落ち込んだものの、2019年3月期には前年比4.6倍の29億円にまで回復しています。  下記のデータを見れば、業績が回復していることが一目でわかるはずです。 【ケンタッキーの売上高推移】 2018年…734億円(前年比-146億円) 2019年…743億円(前年比+9億円) 2020年…800億円(前年比+57億円)※予想 【ケンタッキーの経常利益推移】 2018年…6.2億円(前年比-17.8億円) 2019年…29億円(前年比+22.8億円) 2020年…49億円(前年比+20億円)※予想 【ケンタッキーの純利益】 2018年…5.7億円(前年比-7.3億円) 2019年…20億円(前年比+14.3億円) 2020年…34億円(前年比+14億円)※予想 ※FISCO 日本KFCホールディングスより

500円のランチは、実質910円のメニュー

 では、日常でケンタッキーを選んでもらうために、ケンタッキーが具体的にとった施策はなんでしょうか。それは大きく二つ。  一つは500円ランチ。もう一つは、期間限定のキャンペーン商品です。  500円ランチは、2018年7月から何度か期間限定で販売していましたが、あまりの好調ぶりをうけ、2020年1月6日からレギュラーメニュー化しています。消費増税で家計が苦しくなる中、ワンコインで食べられる手軽さと美味しさを兼ね備えたケンタッキーのランチは、消費者から12月に限らず年中支持を集めたのです。  しかも、500円の中身がかなり大盤振る舞いなのです。
ケンタッキーのHP

ケンタッキーのHPより

「Sランチメニュー」の中身4点は以下の通り。 ・オリジナルチキン:1ピース(単品だと250円) ・特製ハニーメイプルをかけて食べるビスケット:1個(単品だと230円) ・ポテト(S):1個(単品だと230円) ・ドリンク(S):1個(単品だと200円)  なんと、単品で購入すると合計910円(税込)するセットが、500円で食べられるのです。ここまで読んで、最寄りのケンタッキーを検索したくなった人も少なくないはず。ケンタッキーのランチが提供しているのは、“お得感”ではなく、本当の“お得”なのです。
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一方の大戸屋は…
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