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ケンタッキーが絶好調。大戸屋と明暗分けたランチ戦争に注目

大戸屋ランチは70円の値上げで…

 一方、ランチタイムの勝者がケンタッキーだとすれば、現在“敗者”と言わざるをえないのが定食チェーンの「大戸屋ごはん処」です。なんと、既存店売上高は12カ月連続で前年割れ。  人気メニューであった「大戸屋ランチ」(720円)は、昨年4月に廃止しています。  このランチメニュー廃止による、客離れは深刻でした。その6ヶ月後である2019年10月に「大戸屋ランチ」(790円)を復活させていますが、客離れは止まらない状況です。  それは財務諸表にも現れています。 【大戸屋の売上高推移】 2018年…262億円(前年比+6億円) 2019年…257億円(前年比-5億円) 2020年…245億円(前年比-12億円)※予想 【大戸屋の経常利益推移】 2018年…6.6億円(前年比-5000万円) 2019年…4.6億円(前年比-2億円) 2020年…-2.4億円(前年比-7億円)※予想 【大戸屋の純利益】 2018年…2億円(前年比-1億5000万円) 2019年…5000万円(前年比-1億5000万円) 2020年…-5.3億円(前年比-5億8000万円)※予想 ※FISCO 大戸屋ホールディングスより  特に、純利益はマイナス5億円。ここからどうやって回復できるのか。注目が集まります。

“日常使い”で勝ったケンタッキー

 鳥貴族はたった、18円の値上げで顧客にそっぽを向かれ、大戸屋も実質70円の値上げで客離れが起きました。不調の理由は値上げだけとは言えませんが、好調なケンタッキーと比較すれば、両者の明暗分けた違いが見えてきます。  たとえば、テレビCM。  多くの飲食チェーンは新メニューや期間限定メニュー開始のタイミングで集中的にCMを打つことが多いですが、ケンタッキーは日常食であることをアピールするために、恒常的にCMを流し続けました。  また驚異のコスパである「Sランチ」のように、最初は期間限定で導入し、顧客のニーズを把握できたところでレギュラーメニュー化に踏み切りました。顧客のニーズがわかるまではテストマーケティングを繰り返していたのです。  その姿は、まるで関心が変わりやすい消費者のニーズに合わせて態度を変える風見鶏(チキンだけに)。しかし、その企業態度こそが、飛躍の理由だったのです(フライなだけに)。 参考 大戸屋(2020 年1月度の月次売上高等に係る昨年対比増減率について)
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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