「こいつはコロナだ」とSNSでデマを流された…弁護士に聞く誹謗中傷被害の対処法
新型コロナウイルスの拡大が止まらない昨今、トイレットペーパーの買い占め問題などが顕著だが、パニック状態に陥るとネット上に溢れるデマを拡散してしまう人もいる。そしてそれが特定の人間を誹謗中傷するといった行為に繋がる恐れもある。つまり今、「誹謗中傷の被害に遭う可能性」が誰にでもある状況なのだ。
茨城県守谷市の高速道路で起きたあおり運転で「ガラケー女」とデマを流された女性の代理人としてデマ被害の救済に取り組む、インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士が、ネットでデマを流された際の対処法を伝授してくれた。
ある日突然、SNSに「このアカウントの人は新型コロナウィルスに感染しているのに、SNSでいろいろな場所に遊びに行った写真を載せている。自分の欲求のために感染を拡大させる無責任な人だ」とデマを流されたと想定してみよう。
すぐに「特定犯」が過去のSNSの投稿内容やフォローやフォロワー等を調査し、経歴や友達、勤務先を特定しようとする。そして、特定されてしまうと、住所氏名や年齢、家族関係、生い立ち等の個人情報がSNS上で拡散され、自宅に不審者が訪れたり、勤務先にクレームの電話がかかってきたりするようになる。
特定された個人が間違っていて、そのアカウントの保有者とは全く無関係のこともある。しかし、困り果てた本人が警察に相談に行っても、インターネット上のトラブルにはなかなか向かい合ってくれないそうだ。このような場合、自分でできる対応方法として、小沢弁護士はこう指摘する。
「まず間違った情報が流れて炎上状態になっているときに、当事者から、広まっている情報は間違いであると正式に意見表明をすることは一定の効果があると思います。近時は、過去に起きたいくつかのデマ拡散事件を教訓にして、SNSで流れている情報をそのまま信じることは適切ではないとの認識を持っている人も相当数いますので、意見表明をすることで、本人は否定しているのだから流れている情報がデマではないか、との意見が広まることが期待できます。
とはいえ、そのような傾向にある現在においてもなお、意見表明に対して『開き直るな』『白々しい』などと言った誹謗中傷がされ、炎上を招くこともありますので、その時々の状況に応じて適切な判断をすることが重要だと思います」
このような問題に巻き込まれた場合、本来は警察に相談し、刑事事件として扱ってもらうのがベストといえるはず。しかし前出の通り、警察はこの手の事柄に積極的ではない。今年1月、女優・春名風花さん(19)がネット上で誹謗中傷被害に遭い、警察に告訴状を提出したものの受け取りを拒否されたと、自身のSNSに投稿したことからもそれが分かる。一体、なぜ警察は動いてくれないのだろう。
「インターネット上の誹謗中傷への対応は、まず発信者を特定することから始まります。特定に至るまでの仕組みが複雑ですし、特定するための情報を得るためには、比較的簡易な捜査事項照会では足りず、裁判所の令状を取得する必要があるケースもあります。このように、発信者を特定するためにもいくつかの段階を経ねばなりません。
また、警察にはインターネットトラブルだけではなく、今まさに人の生命身体に差し迫った危険が及んでいるなど、緊急性の高い事件等の相談も多数寄せられます。その時々の状況によっては、現に生命身体の危険に瀕している人を優先して助けなければならないこともあると思います。このような事情から、インターネットトラブル案件に警察が消極的になる事案は多々あります。むしろ全体に占める割合は大きいと思います」
ネットでの中傷被害…警察が動かないワケ

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