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ドコモとKDDI、コロナ不況下で勝敗を分けるのは「携帯事業」ではない

ドコモが儲ける意外な分野とは

 ドコモの非通信事業とはなんでしょうか。ドコモは主に非通信事業を「スマートライフ事業」と呼んでいます。  その中身は下記の4つです。 1:動画・音楽・電子書籍等の配信サービス 2:金融・決済サービス 3:ショッピングサービス 4:生活関連サービス  特に強化しているのが金融・決済サービスです。「d払い」や「dポイント」、「dカード」のことと言えばイメージしやすいのではないでしょうか。ドコモの金融・決済サービスの取扱高は19年3月期には3.8兆円にものぼり、2019年は過去最高益を記録しています。  また、会員基盤である「dポイント」クラブ会員も7,300万人を突破。現在、d払い取扱高は2600億円、d払いユーザー数は2,200万人、決済・ポイント利用可能箇所は143万カ所と成長傾向です。  さらに、1月30日にドコモはリクルートと業務提携契約を発表。これにより、「じゃらん」「ホットペッパービューティー」「ホットペッパーグルメ」などのWebサービスを通して予約した店舗でのサービス利用でdポイントがたまるようになります。  いまのドコモは、決済で儲けようとしているのです。ここから先は、いかにパートナー企業を増やせるかがポイントになるでしょう。

KDDIの非通信事業「ライフデザインセグメント」ってなんだ?

 続いてKDDIの非通信事業です。答えを急ぐと、こちらもドコモ同様に金融事業です。  KDDIは、銀行・決済保険・証券を一体としたauフィナンシャルホールディングスの事業に力を入れています。今年2月9日、KDDIは「じぶん銀行」から「auじぶん銀行」と名称を変更しました。これは、今後KDDI色を強めていくための戦略のひとつでしょう。 「カブドットコム証券」も同様です。  2019年2月、KDDIはカブドットコム証券に資本参加を表明。KDDIと、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のカブドットコム証券が融合し、2019年冬に「auカブコム証券」が誕生しました。KDDIは、着々とauフィナンシャルホールディングスの構想を進めているのです。  同社は、auカブコム証券でauじぶん銀行の自動引き落としを設定すると、じぶん銀行の円普通預金の金利を0.001%から0.01%へと10倍引き上げるなどの優遇策を打ち出しています。ドコモと比べ、KDDIの金融事業は銀行・証券の色が強いと言えます。  KDDIによると、将来的には2022年時点でライフデザイン領域の売上高を、1.5兆円規模にまで拡大させる予定と発表しています。  ここまで読めば、結論は明らかです。  ドコモもKDDIも、通信業で儲け続けるのは難しい。そこで膨大なユーザー数を武器に、金融業に力を入れているのです。それを踏まえた2020年現在、両社のレースはドコモのほうがややリードといったところでしょうか。コロナ不況下でも負けない理由は、通信業以外にもあったのです。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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