ドコモとKDDI、コロナ不況下で勝敗を分けるのは「携帯事業」ではない
―[あの企業の意外なミライ]―
NTTドコモ(以下、ドコモ)とKDDIの株価が好調です。
在宅勤務や休校で外出を控える動きが全国的に広がるなかで、通信インフラの利用頻度が増えることから、底堅い値動きとなっているのです。また、通信事業はコロナ不況の影響を相対的に受けにくい上に、5Gの本丸として「コロナ下でも強い株」という認識が強まっています。
両社が強いのは、オンライン需要が高まっているからなのか?
この問い、短期的には正解ですが、長期的には不正解です。ドコモとKDDI、両社の本当の強みは何なのか? 私、テクニカルアナリストの馬渕磨理子が、3分間で通信業界の未来を“知り放題プラン”でお届けしましょう。

通信業界を知るキーワード「アープ」と「アーパ」
さて、話はここから。本稿の結論とは関係ないため、時間のない方はこの章の最後まで読み飛ばしていただいて結構です。
通信業界で重要視されている指標に、ARPU(アープ)とARPA(アーパ)というものがあります。これらの言葉、初めて耳にする方も少なくないでしょう。簡単に説明します。
「ARPU(アープ)」はユーザー1人あたりの月間平均売上高のこと。
「ARPA(アーパ)」は、1アカウントあたりの月間平均売上高のことです。
両者は混同しやすいため、最後の一文字で見分けましょう。
ARPUは“U”なのでuser。ARPAは“A”なのでaccountと覚えられますよね。
ちょっと理解が必要なのはARPA(アーパ)です。
ARPAは、一般端末(フィーチャーフォンやスマートフォン)に加えて、タブレット・モバイルWi-Fiルーターなど複数の端末を利用する「マルチデバイス」を推進する中で導入された指標です。最近、一人でiPhoneとiPadを持っていて、さらにモバイルWi-Fiを持っている方って少なくないですよね。そういう複数アカウントを持つユーザーが増えてきたために生まれた指標です。この指標を見ると、通信業界が抱えている問題が透けて見えてきます。
ドコモは、通信事業のARPUを開示していますが、2019年度は前年と比べて減少しています。
【ドコモ ARPU】(1人あたりの平均売上高)
2016年度 4,440円
2017年度 4,710円
2018年度 4,800円
2019年度 4,630円←減少!
一方、KDDIが開示しているのは、ARPAです。ここ、ARPUではないので注意です。
下記のように、通信事業のARPAは減少しているのに対し、非通信事業のARPAは増加しています。
【KDDI ARPA】(1アカウントあたりの平均売上高)
◆通信事業 ARPA
2018年度 5,910円
2019年度 5,860円←減少
◆非通信事業 ARPA
2018年度 590円
2019年度 700円←増加
少し複雑な説明でしたが、抑えておくべきポイントはたった一つだけです。
「ドコモも、KDDIも、もう携帯だけじゃ食っていけない!」。それだけです。
現在、国内の携帯電話契約数は1億7847万と、日本の人口を超えている飽和状態(19年9月末時点)。さらに、菅官房長官が携帯電話の利用料の4割値下げを提唱しています。
「第4のキャリア」として参入した楽天は、大手3社の半額以下の料金プランを打ち出しています。そこで、ドコモとKDDIがいま力を入れているのが非通信事業なのです。では、非通信事業ってなんのことでしょうか?
正直、ここまでの説明は前奏のようなもの。通信業界の未来はここからが“サビ”です。
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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