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GWのコロナ疎開に対する観光地の本音。経営は苦しいけれど…

 小池百合子東京都知事はゴールデンウィークにかんして「ステイホーム(家にいよう)週間」と位置づけた。都市部から地方や観光地への移動の抑制に向け、全国知事会からは「国道規制」するべきだという提言まで出された。
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※写真はイメージです(以下同)

 「コロナ疎開」について、実際に観光地の現状はどうなのか。地元に住む人々の本音を聞けば、複雑な思いが見えてきた。

経済的に大打撃、このままでは地域崩壊…

「週末になると確かに他県ナンバーの車が多くなります。でも、嫌がらせしてやろうとかそんなことは決して思いません。ここは観光地ですから、観光業で生計を立てている人はたくさんいます」  とある観光地でペンションを経営している渡辺幸男さん(仮名・30代)がこう話す。これまでは首都圏からの観光客を相手にすることで経済が成り立っていた地域。本来ゴールデンウィークは稼ぎ時だが、今年は事情が異なる。 「多くの人が売上、収入の減少に直面しています。給付金や補助金なども手は打たれていますが、スピード感が不足しています。そもそも、今の上限額では到底足りない人たちが多くいます。私の地域では休業補償は出ないので、みんな納得できないまま受け入れている状況なのです」  いま渡辺さんの地域は経済的に大きな打撃を受け、危機に瀕している状態なのだという。“緊急事態宣言”は、5月6日に解除される予定だが、延長の可能性も出てきた。 「この地域に関しては、コロナ感染予防の自粛ではなく段階的な経済の復活が求められます。報道では、日々の感染者数の増加が伝えられていますが、東京都や大阪府などの大都市がほとんど。それ以外の地域は(新たな感染者は)ゼロの県も多いということは明らかです」  そんななか、避けるべきはクラスター(集団感染)という意識にシフトしてほしいと考えているそうだ。 「高齢者や子ども、疾患のある方にはより深い注意を払いながら、医療崩壊を防ぐことです。3つの密のバランスを取りながら、多少のリスクを負ってでも、経済を通常通りに戻すことを期待しています」  それが出来なければ、地域崩壊の可能性が高まってしまう。観光業に携わる全国の人たちにとってゴールデンウィーク後の状況を見守り、収束することを願っているのだ。
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“コロナ疎開”対策に、ホテルや駐車場の閉鎖も…
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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