ライフ

GWのコロナ疎開に対する観光地の本音。経営は苦しいけれど…

“コロナ疎開”対策に、ホテルや駐車場の閉鎖も…

旅行 渡辺さんと同じ地域のホテルに勤務する長野紗枝さん(仮名・30代)も観光地で働く者として複雑な思いを抱えている。長野さんの勤務するホテルは5月6日まで休館を決めたようだ。 「未だに営業しているホテルもあります。県外から泊りに来ている人も多くいるそうなので不安は隠せないのが正直なところ……」  自覚症状がなくても、もしかしたら自分が保菌者かもしれないという危機感をもっともってもらいたいと長野さんは言う。 「毎日ウォーキングしているんですが、桜の時期は花見に来ている人がたくさんいて、県外ナンバーの車が停まっていました。そのため、4月25日から駐車場閉鎖のところもよく見かけるようになりました」  野外だからいいだろうという問題ではない。桜はこの地域に来なくても見ることはできるし、こんな状況だからこそ「今年は控えてほしかった」と率直な思いを明かす。また、ホテルが休館している状況で、長野さんの生活はどうなるのだろうか。 「私は社員だから国の補助もあるし、保障されています。でも派遣社員やパートの人たちは無給なので、今後が心配ですよね。早く私たちが通常の仕事に戻ることができるように今は“コロナ疎開”は控えてほしいです。最近は釣り人も多くいますし……」

経営難でも「予約キャンセルでホッとする」

桜 宿泊業を営む増本えりさん(仮名・40代)も渡辺さんや長野さん同様に、“コロナ疎開”によって観光業界が大変な状況になったと話す。 「私の宿泊施設もキャンセルが続き、先行きが全く分からない状況です」  増本さんもコロナの影響で経営難に陥っているようだ。しかし、ありのままの胸の内ものぞかせる。 「今の状況では、予約がキャンセルになるとホッとしてしまうのが正直なところです。不要不急の外出を止めてステイホーム、お家にいよう……ということをみんなが実行できたらいいのにと思っています」  コロナ疎開による感染拡大への懸念と、経営難の狭間で葛藤する観光地の人々。これらの声は、観光地出身の筆者の地元で聞こえてきたものだ。多くの人に耳を傾けてほしいと切実に願っている。<取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
1
2
おすすめ記事