仕事

入社2週間で辞めた新入社員、学生野球出身の根性に期待するも…

 そして、決定的な「この人絶対アカン」と思う出来事が。 「アーティストのSNSをチェックすることも大切な仕事なんです。全国のどこでコンサートやイベントをするのか情報収集をして、営業に活かすためでもあります。もちろん、新入社員もスマホを見ていたのですが、なぜか、指先の動きに違和感を抱いたんですよね。そーっと見てみたら、なんと競馬の育成ゲームアプリをしているではありませんか! それにはさすがに驚愕しました」  そして、某アーティストのコンサートで、声が小さく滑舌も良くない新入社員に対して、ついに激が飛ぶ。 「大きな声で返事しろよ!」  しかし返事は蚊の泣くような声。「お前、なめてんのか!」と再度キレられるが、反省の色が見られない。 「僕は、気を使って『気にすることないよ。あんなのしょっちゅうありますから』と慰めました。でも、その言葉に対しても何も言わず……その日のコンサートは終了しました」

夢は叶わなかった

退職 翌日、新入社員は出勤しなかった。北嶺さんの経験上、2週間で辞めたのは最速だったそうだ。社長が連絡しても音信不通だった。にも関わらず、経理には「有給を使って1か月分の給料は欲しい」と連絡が入った。北嶺さんは「そこはしっかりしてるんだな」と呆れ顔だ。 「ちなみに、辞めるきっかけとなったコンサートは、ドリカムでした。“夢は叶う”っていうアーティストのコンサートで辞めるなんて、少し笑ってしまいましたよ。もしかしたら、アプリで育てた馬がG1を制覇するという夢は叶えているかもしれませんね」  新入社員の彼は、わざわざ沖縄県まで来て就職したことから、きっと夢を抱いていたはず。だが、残念ながら叶わなかったのだ。  自分自身が本当に合う(好きな)仕事に就けることは稀で、転職を繰り返してしまう気持ちも分からなくもない。ただ、辞めるなら常識のある辞め方で去るべきだと誰もが感じているのではないだろうか。<取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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