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「私の髪を優しく触ってくれたのに…」美容師を困らせるモンスター常連客

 美容師とお客さん。互いの距離は近く、時には恋愛に発展することも。しかし、その近さが仇となり、“自分に好意を持っているに違いない”と勘違いをしてしまう痛客もいるらしい。
彰吾さん

彰吾さん

 都内で働く彰吾さん(仮名・27歳)は、多くの顧客を持つ人気美容師。技術力の高さから、雑誌などでも取り上げられるなど、注目を集める人物だ。

2週間に1回来店する女性客…

美容師

写真はイメージです(以下同じ)

「僕はお客様との会話を大切にしながらカットしていくのが得意です。“会話が面白い”と言われると嬉しくなりますね」  親しみやすい接客を心がけている彰吾さんだが、ある接客でお客さんとトラブルになってしまった。 「ある日店長から、“彰吾さんに色恋営業されたってお客さんからクレームが入っている”と言われたんです。驚きました」  彰吾さんに色恋営業されたとクレームを入れてきたのは一人の女性(以下、Aさん・28歳)だった。 「Aさんは目の下に赤いチークを入れていて、話題になっている“噛みついちゃうぞ系女子”な感じです。アニメキャラに寄せたような服装や髪型が特徴的な女性でした。カットをしている時に会話をするんですが、鏡越しではなく振り向きながら話すんです。突然動くので間違えてカットしてしまわないかハラハラでした」  きっとAさんは彰吾さんとの会話を楽しんでいたのだろう。最初のうちは雑談がメインだったが、来店回数が増えるごとに会話の内容も深くなっていったという。 「恋愛の話もしました。Aさんが彼氏と別れて落ち込んでいたので、励ましたんです。でもこれが誤解を招く一歩になるとは思いませんでした」 美容室 始めは2か月に1回のペースで来店していたAさんだったが、徐々に来店ペースは上がり、月に1回、そして2週間に1回にまでなったそう。 「トリートメントのみのお客様もいるので、2週間に1回はおかしな話ではありません。でも失恋の話からペースが上がっていったので、少し心配になりました。お店の料金としては、カットカラーで1万5000円、トリートメントで5000円ほど。Aさんは28歳ですが学生だと聞いていたので、頻繁に来るのは大変だったのではないでしょうか」

なぜ素直に連絡先が交換できないの?

 ある日、頻繁に美容院に通うようになったAさんから、彰吾さんは連絡先の書かれた紙を渡された。 「“これ、連絡先です”ってニコニコしながら渡されたんです。プライベートでお客様と連絡を取ることもありますが、Aさんは僕の中で“お客さん”でしかなかったので丁寧に断りました」  Aさんの表情は暗かったが、納得してくれた様子だったと語る彰吾さん。しかし、彼が仕事の一環として開設しているインスタグラムに、1通のダイレクトメッセージが届いたというのだ。 「僕をフォローしているアカウントから、“仕事場じゃ連絡先交換はできないよね。私の配慮がなくてごめんね”って突然連絡が来ました。この内容からAさんだとすぐに結びつきました。  仕事柄、ダイレクトメッセージを無視するわけにもいきませんので、“お客様との連絡先交換は店長からダメだといわれている”と、嘘をつきました」  頑なに連絡先交換を断る彰吾さんにしびれを切らしたのか、Aさんは彼にこんなダイレクトメッセージを送ってきたとか。 「“いつも目を見て話してくれた。私の髪の毛を優しく触ってくれた。耳に手が当たった時ドキっとした。私が失恋した時、相談に乗ってくれた。ここまでされてて、彰吾さんからのアプローチに私が気づかないはずはない。なのに何で素直に連絡先が交換できないのか分からない”って来たんです。 スマホを持つ女性 “いくら使ったと思っているんだ。あなたに会うためにバイトも増やした、親に嘘をついてお金をもらった。あなたは私の心をもてあそんだ”と言われたんです」  どうやらAさんの中では、以前から彰吾さんが自分のことを気になっていたと思い込んでいたらしい。しかし彼に全くその気はない。 「髪を丁寧に扱うのは美容師なら誰だってします。会話を大切にするのは僕のポリシー。僕は一言も“好き”とは言っていないし、特別なことはしていません。これで僕がAさんに恋をしているといわれてしまうと仕事になりません」  しかし反論しても仕方がないと思った彰吾さんは、“勘違いをさせてしまってすみません”と謝罪したそうだ。そしてその後、店長の元にAさんからクレームが入ったのだった。
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恐怖の後日談
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