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ワンピースのチョッパーはなぜ麦わら海賊団の船医に転職したのか?

人物の影響は一人では思い出せない

 このように一つの決断には、複数の「人物の影響」が重なっています。これはフィクションだけの話ではなく、現実にも当てはまります。しかし、私たちは「お金」や「時間」や「合理性」や「効率性」を重視するせいで、こうした人物の影響を見落としてしまいがちです。その結果、自分が何をすればいいのかわからない、あるいは自分が何をしたいのかわからないという状態に陥ります。  そんな時に大切なのが、人物の影響に気づくことです。目の前の出来事と絡めて、何年も前のことですっかり忘れてしまっている誰かとのやりとりを思い出すと、「そういえばあの時こう思ったんだ」とその時の心情がよみがえり、それが決断の理由になってくれます。  ただ、こうした記憶は一人では思い出せません。「五年前に何かあったかな?」と考えるだけでは思い出せず、誰かのエピソードに触れた時に、「そういえば自分にも似たようなことがあった」と共感して初めて思い出せます。物語はこの共感の対象になってくれます。  現実の人間が海賊になることはないかもしれません。しかし「町医者」から「船医」になるのは、一種の転職と考えることができます。そして職選びには恩師や恩人の言葉がよく影響します。チョッパーはヒルルクに恩義を感じていて、そんな恩人の言葉だったからこそ「海へ出ろ」というアドバイスに心を揺さぶられていました。それから五年も経ってルフィと出会った時に、それまでと異なる世界へ踏み出す原動力になったのです。  チョッパーがルフィの仲間になるエピソードはワンピースの16巻から17巻で描かれています。彼が船医になる過程をぜひ、Dr.ヒルルクの影響に注目しながら読んでみてください。もしあなたが過去に恩師や恩人からアドバイスを受けたことがあれば、新たな発見があるはずです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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