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藤井聡太七段の強さの秘訣は「恩師の激励」にあった

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第188回  将棋の藤井聡太七段が31年ぶりにタイトル挑戦最年少記録を更新しました。彼はこのほかにも最多連勝、3年連続勝率8割以上といった複数の新記録を打ち立てています。その強さの秘訣は、小学生の時点からすでに垣間見ることができます。  藤井七段はプロを養成する奨励会に入会した小学四年生の時に、地元のラジオ番組に出演しました。この時、彼は「名人超えを目指す」という抱負を語っています。  決断には常に人物の影響があります。「あの時、あの人が、ああいってくれたから。だから自分はこうするんだ」ということがあって、人は何かを決断します。「名人超えを目指す」という決断には、彼が5歳から通い始めた「ふみもと将棋教室」の指導者、文本力雄の影響があります。  藤井七段は奨励会に入会すると同時に、ふみもと将棋教室を退会しています。この時、母親と挨拶に訪れた藤井七段に対して、文本氏は「名人を目指すなら応援しない。名人を超えろ」と激励しました。藤井七段がラジオで「名人超え」を抱負として語ったのは、その数ヶ月後でした。  このように自分の夢や目標が恩師の受け売りであることは珍しくありません。iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は書籍や講演で、「世界を相手にする」というフレーズを繰り返しています。  このフレーズは大学院時代の恩師である三浦克之教授の「いまおまえのしている研究を行なっている人は、世界でもごく僅かかもしれない。でも取り組んでいる内容は世界最先端のことだ。研究医は常に世界を相手にしているんだ」という激励から影響を受けています。  藤井七段が文本氏から受け取ったものは、もちろん「名人を超える」というフレーズだけではありません。ふみもと将棋教室では詰将棋を重視しており、彼はこれを子供の頃から熱心に解いていました。それが『詰将棋解答選手権チャンピオン戦』5連覇という結果に繋がっています。  将棋で強くなりたいなら、定石や詰め将棋といった将棋の内容を学ぶ必要があります。しかし、そういった理屈だけでは十分ではなく、将棋に携わっている人間から影響を受ける必要があるのです。  ところが、この「人物の影響」は見落とされがちです。勉強をした方がいいのはわかっているけど、なぜか勉強する気にならない。運動をした方がいいのはわかっているけど、なぜか運動する気にならない。仕事をした方がいいのはわかっているけど、なぜか仕事をする気にならない。こうした悩みは誰にでも経験があると思います。
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人物の影響を無視するとうまくいかない
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