塩見きら「ストーリーは大事だから、節目をみんなとお祝いしたい」
――塩見さんは学生さんでもあるんですよね?
はい。
――大学生の自粛期間の過ごし方って?
自宅でYouTube用の配信動画を作りつつ、オンラインになってしまったものの講義を受けるという感じの毎日を送っていました。あと作詞もしているので、その制作活動に時間を当てていた感じですね。
――一ノ瀬さんと一緒にアニメ専門サイトでコラムを書いていますけど……。
アニメはまあ観ましたよ!
――そんなに観ましたか(笑)。特に気になった作品ってあります?
『日本沈没 2020』ですね。あれはヤバかった(笑)。
――あと塩見きら個人として、音楽ユニットtk2tkや、VTuberキズナアイのMVにご出演なさってましたよね?
あっ、あれは緊急事態宣言解除後にいただいたお仕事なんです。春の自粛期間が終わったら、どの業界の方も「働かなきゃ!」って思ったのか、夏に入ったころからスケジュールがけっこう詰め詰めだったんですよ。あの2つのMVも慌ただしい中で撮ったんですけど、すごく自分にとって大事な作品になりました。
――そもそもどういう経緯でMVに出演することに?
正直、なんで私だろう? と思いました。でもすごくうれしかったのが素直な感想で。ぜひやらせてくださいと返事しました。
塩見きら
――ただ自粛期間中、神宿がヒマだったかと言われると違いますよね。
ライブアイドルと呼ばれていて、実際これまではファンの方と対面して直接お話する活動をしていることもあって、それができない状況でなにをしなきゃいけないのか? なにができるのか? をメンバー自身すごく考えて。いつも以上にYouTubeを活用するようにしていたし、デジタルでの新曲リリースが立て続けにあったので、いかにネット中心にプロモーションできるかも模索していました。ネットの使い方についていつも以上に頭を使った数カ月でしたね。
――それは塩見さんに限らず?
私は去年の4月に入った新メンバーなんですけど、ほかのメンバーは5、6年、ほぼ毎日神宿と活動していたのに、いきなり家にいなきゃいけない状況になったから、少なからずファンに会えない寂しさもあったと思うんです。だから絶対に今掴んでいる手を離したくないってみんな思っていたはずですし。それに私自身、活動期間は1年半弱だけかもしれないけど、今、グループがいい流れにあることはわかっていたからその流れを絶対に止めちゃいけないし、さらに勢いをつけなきゃいけないと思っていたので、そのためにできることはずっと考えていました。
――ちなみに自粛期間のうちに神宿としてYouTubeで公開した動画の中でも塩見さんのお気に入りってあります?
私は去年の4月29日に神宿に加入したこともあって、1周年記念のタイミングが自粛期間とカブってしまって……。だから記念ライブはできなかったんですけど、その日、メンバー全員でYouTubeライブで個人映像を配信リレーする企画をやったんです。で、私が最後の出番だったんですけど、その直前、4人のメンバーのトークが終わったあと、ドッキリとして4人があらかじめ作っていた「大好きなしおみぃへ。」という動画を投稿してくれていて。それはやっぱりうれしかったですね。
――その塩見さんの周年記念日もそうだし、神宿ってほかの4人の誕生日が……。
全部春だから自粛期間と重なっちゃったんですよね(笑)。もともとストーリー性を大事にしているグループなので、こういう状況であっても節目節目のタイミングはファンの方と共有したくて。だから私の加入記念企画やメンバーの生誕企画みたいなことをネット上で施策できたのはよかったと思っています。
――ネットの施策といえば、神宿は4月から7月にかけて新曲を連続リリースしています。
その第1弾の「在ルモノシラズ」は私が作詞家さんと一緒に歌詞を作らせてもらったんですけど、曲のテイストも私の歌詞もこれまでの神宿とはテイストが違うものだったので、リリースされたときの反応はすごく気になりました。
――硬質なクラブトラックといい、〈好きな相手が死ぬ系映画 グッドエンドじゃ終わらせない〉〈「僕はなぜ」答えはないの? 影は伸びる 途絶えぬ妄想〉というシリアスなリリックといい、カッコいいんだけど、〈ほめろ!! ほめろ! 説教するよりほめろ!〉と連呼している神宿を知っているファンほどビックリするかもしれないですね。
その「ほめろ!」みたいなライブですごく盛り上がる曲を愛してくれる方がたくさんいらっしゃるのはわかっていたので、1音1音じっくり聴き込んでほしいこの曲ってどう聴こえるんだろうという不安と、私自身初めての作詞だったのでどう聴かれるんだろうという不安がありました。
――結果リスナーの反応はいかがでした?
すごく楽しんで聴いてくださったし、歌詞についてもひとりひとり深く考察して聴いてくれたり、ファンの方同士で歌詞をネタに盛り上がってくださったりしていたのでホッとしました(笑)。
――さらに5月リリースの「Erasor」も塩見さんの作詞です。
この曲は1年くらい前、去年の夏くらいにいただいたものだったんですけど、その当時だと私たちが歌うのはムリだな、と思ったんです。こういうバラードをグループで歌う姿が想像がつかなくて。でも去年「ボクハプラチナ」をリリースしたあたりから、神宿の楽曲の幅も、私たちの歌い方のバリエーションも拡がった感じがしていた、そのタイミングで「じゃあ一ノ瀬、小山、塩見のユニットで歌ってみようか」というお話をいただいたので、もともとあった語りの部分の歌詞を私なりにアレンジさせてくださいというお話をさせてもらいました。
――そういえば作詞って具体的にはどうやって進めるんですか?
曲によりけりですね。デモをいただいてそれを聴きながら思い付いたモチーフについて書くこともあるし、まずは思っていることをバーッと書き出して、その言葉をメロディにハメていくこともありますし。あと書く内容もまちまちですし。「在ルモノシラズ」や「Erasor」は自分の思ったことを書いたつもりなんですけど、7月リリースの「Brush!!」の歌詞を書かせていただいたときには、ある意味私とは全然関係ない、すごくかわいくてポジティブな女の子になりきって書いているんです(笑)。
――プロの作詞家さんならいざしらず、「在ルモノシラズ」で初めて作詞に挑戦したのに、5人の歌割りもちゃんと考えた上で言葉を紡げるあたり、本当にすごいなと思いました。
だから3人のユニット曲の「Erasor」よりも5人で歌う「在ルモノシラズ」や「Brush!!」の作詞のほうが大変なんです(笑)。
――これからも作詞は続けて行く?
そうですね。自粛期間明けにMVに出させていただいたこともそうだし、神宿としてがんばるのはもちろん、個人の表現の幅や活動の幅も広げていきたいなと思っています。
――あとプライベートでやってみたいことってあります?
私、旅行が好きなんですよ。
――でも「GoToトラベルキャンペーン」なんかが始まったとはいえ、まだまだ気軽にどこかに遊びにいける状況じゃないですよね。
だから今のうちに外国語を勉強しておこうかな、と思っています。
「神宿HALL TOUR 2020」
2020年9月13日(日)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール