――神宿ってメンバーそれぞれの個人ファンクラブがあるじゃないですか。 はい。 ――そのファンクラブページでみなさん、会員だけが閲覧できる日記をつけていらっしゃるんだけど、羽島さんの日記のタイトルがいちいち変で好きなんですよ。 えーっ!? 全然変なことなんて書いてないですよ。 ――実のお姉さんである、みきさんが同じグループにいるにもかかわらず「羽島めいはなぜ妹なのか」というタイトルの日記は変ではない、と（笑）。あと「羽島めいが奇声を上げる本当の理由」って日記もありましたよ。 あはははは（笑）。でも特に文章を書くのがうまいわけでもないし、なんなら自分のことをちょっとおバカだなあって思ってるから、それでも面白がっていただけるのであれば、私の中の野生の勘みたいなもののおかげなのかなあ。 ――そしてそのファンクラブの立ち上げがまさに自粛期間中だったから、「意外と楽しそうに暮らしてるなあ」という印象を受けたんですけど……。 いや、自粛期間が始まったばかりのころはライブが延期になったり、神宿としての活動がなにもない状態になって、本当になにをしていいかわからなくなっちゃって。それではじめのころはずっと家にこもっていたんですけど、このままっていうのもなんだしということで、ちょっと自分についていろいろ考えていました。 ――自分について考えた？ 「私ってグループの中でどういう立ち位置で、どういう言葉を求められてるのかな？」「どういう活動をしたらファンの方に笑顔でいてもらえるのかな？」とか。たぶんほかのメンバーも言っていると思うんですけど、この5年間、そういうことを考える時間もないほど忙しかったので、自粛期間には戸惑ったりもしたけど、ある意味自分を見つめ直すチャンスでもあったのかな、とも思っています。……あっ、あと、ずっと家にいたから太りました！（笑） ――あはははは（笑）。でも今、拝見するに新型コロナ前とプロポーションは変わってないですよ。 太ったことに気付いた瞬間、ヤバい！ と思って、めちゃくちゃ筋トレしましたから。そうしたら自粛前より腹筋が割れたので、今はむしろムッキムキです。おなかを出す衣装がないのが残念なんですけど（笑）、また普通にライブができるようになったら、今までとは違うダンスをお見せできる気がするので期待しておいてください。 ――ほかになさっていたことってあります？ 映画やアニメをめっちゃ観たくらいかなあ。Netflixで『ワンピース』を全話あらためて観直してみたりとか。 ――それは確かにまとまった時間がないとできなそうですね。 しかもあらためて観てみたら『ワンピース』ってすごく深いな、と思って。セリフはめちゃくちゃカッコいいし、どれもいいことを言っているし、麦わら海賊団のメンバーってひとりひとりがちゃんと目標をもってがんばってるんだな、ということに感動したし。私もちゃんと目標を持ってがんばらなきゃ、っていう気にさせられました。 ――ダイエットのために始めたであろう筋トレであれ、おそらく思い付きで始めたであろう『ワンピース』マラソンであれ、最終的に神宿としての活動にフィードバックさせているあたり、マジメだなあ、という気がします。 神宿が大好きなので。毎日、ホントにグループのことしか考えてないんです。 ――となると、活動を制限された自粛期間はなおのこともどかしかった？ でもお姉ちゃんがいろいろYouTubeの企画を出してくれて、しかもそれがどれも面白かったので、なにもできなくなっちゃったのは自粛期間の最初だけ。途中からは自粛中なりに楽しくやっていた気がします。 ――そうやってメンバー自身が楽しくやっていると、うまくしたもので、それがちゃんと視聴者にも伝わる。みきさんからファン、特に女性ファンが増えたって聞いたんですけど……。 それは新型コロナになってからというわけでもなくて、去年の1月に動画配信を始めるようになってからずっとですね。それより前に比べて圧倒的に女性ファンが増えました。 ――同性から憧れのお姉さん、またはかわいい妹分として見られる感じって、いかがですか？ すごいことだし、ホントにうれしいです。もちろん男性からホメられるのもうれしいんですけど、女性からホメられるのってそれとはまたちょっと違うじゃないですか。 ――我々が男からホメられるとちょっと男が上がる感じがするのと同じように、女性も女性からホメられると女が……。 上がる、上がる（笑）。 ――じゃあこれから神宿の動画を観るであろう人たちにお勧めの1本ってあります？ 自粛期間中に出したやつだとどれだろう？ 私の場合、一緒に住んでいることもあってお姉ちゃんと撮っているものが多いんですけど、「SISTERS」を2人で踊っているやつはお気に入りですね。
――その「SISTERS」も含め、4～7月に連続配信リリースした新曲はどれも新機軸。それだけに確かに「SISTERS」の動画をきっかけに今の神宿を知ってほしいですよね。 「ピンチをチャンスに変える」っていうのはこの5年間曲げずにやってきたことなので。新型コロナっていう世界的にピンチでしかない期間であっても、そこをどうプラスにして乗り越えていけるか。それについては本当に気合いを入れて取り組んでいるつもりだし、新しいことを常に生み出し続けているつもりなんです。今回の4曲はそういう私たちに似合う曲だと思うので、どれも聴いてほしいなと思っています。 ――その新機軸のひとつである「SISTERS」におけるラップ、しかも実のお姉さんとの2MCでのラップっていかがでした？ まあ照れくさいですよね（笑）。最近「SISTERS」みたいなユニット曲だけじゃなくて、神宿の曲にもラップパートが入ることが増えてきていて、そこを担当することが多いので、ラップ自体に照れることはなかったんですけど、姉妹っていうのが……。でもアイドルグループで姉妹ラップって珍しいはずなので、神宿らしいし、私に似合っているな、とは思っています。 ――お姉さんと一緒にリリック自体も書いているから、なおのこと似合いますよね。 一緒に作詞してくださったASOBISMさんに電話で「昔、こういうことがあってお姉ちゃんとケンカしたんですよ」って感じでひたすら過去のエピソードを伝えただけ。まあ言ってしまえば愚痴なんですけど（笑）、それをお伝えしたらすごく私たち姉妹っぽいラップができあがってました。 ――確かに今のお話を聞いた上で「SISTERS」を聴いてみると……。 まんまですよね（笑）。「ああ、羽島姉妹ってこういうふたりなんだな」って思ってもらえるとうれしいです。 ――あと7月リリースの「Brush!!」にもラップパートがありますよね？ そこの歌詞も書かせてもらいました。しかも「SISTERS」はかわいい系だったんですけど、今回はもっと本格的というか、みなさんが「ラップ」って聞いてイメージするようなラップだったので、ちょっとマジメ。今の思いをそのまま書いているので、本当に羽島めいという人がダイレクトに反映されていると思います。 ――で、9月にはその「Brush!!」も収録したニューアルバムがリリースされて、ホールツアーも開催されますけど、そのあと2020年後半戦ってなにをしましょう？ 時期的にまだ言えない。「なにかやります！」っていう状態なんですけど、いろいろ計画はしているので楽しみにしていてほしいです。 ――しかも羽島さんのダンスもパワーアップしてますしね。 はい！ こういう時期だからこそ、このあいだお姉ちゃんと家で「SISTERS」を踊ったように、踊ってみた動画を上げてみてもいいのかなと思っています。自粛期間中に鍛え上げた身体を活かしたバッキバキのダンスをドンッ！と出してみたいな、って。 ――そしてファンをビビらせる、と。 「えっ、こんなに踊れたの!?」って言わせてみせます！（笑） ＃＃（プロフィール） ●神宿（かみやど） 東京・原宿発の5人組アイドルグループ。一ノ瀬みか、羽島めい、羽島みき、塩見きら、小山ひなからなる。グループ名は「神宮前」と「原宿」から。2014年秋に結成され、翌2015年に1stアルバム『原宿発！神宿です。』を発表し、2016年1月には東京・Shibuya O-EAST、12月には東京・Zepp DiverCity TOKYOと大バコライブハウスでワンマンライブを開催するなど、シーンで大きな人気を集める。その後も2017年に『原宿発！神宿です。』の再発版と2ndアルバム『原宿着！神宿です。』を発表し、年末から2018年にキャリア最大規模の全国ツアーを開催した。また2019年1月には有名YouTuberらクリエイターを抱えるプロダクション・UUUMに所属することを発表し、さらに5月には年初にグループを勇退した関口なほに代わって、塩見が加入。9月には千葉・幕張メッセ国際展示場でキャリア最大規模のワンマンライブ『神宿5周年記念ワンマンライブ 神が宿る場所～君が君らしくあればいいのさ～』を敢行し、2020年1月には過去の楽曲をリメイクした『kamiyado complete best 2014-2016』『～2015-2017』『～2018-2019』という3枚のベストアルバムを発表した。そして4～7月にかけて「在ルモノシラズ」「Erasor」「SISTERS」「Brush!!」という4つの新曲を連続配信リリースした。また9月にはホールツアーと、ニューアルバムのリリースも。 取材・文/成松哲