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『梨泰院クラス』セロイはなぜ諦めずに挑戦し続けたのか?

人はひとりでは行動できない

 セロイがデヒに受けた影響は「対抗心」です。セロイは刑務所でデヒの自伝を読んだことがきっかけで、「自分も飲食店をやろう」と思いつきました。また出所後に立ち寄った居酒屋にその自伝を置いて行く時は、表紙に載っているデヒの顔に落書きをして、「勝ってみせる」と書き込んでいます。このように影響を受けた相手と同等以上になろうとすることで、やる気は引き出されます。  誰かに影響を受けると、その人の顔が事あるごとに頭に浮かぶようになります。特になにか悩み事がある時に、誰かの顔がぱっと頭に浮かんでくると、「自分はこうするんだ」という思いが強くなったり、飛躍的な成長を遂げたりします。  セロイも「利益にならない信念はただの意地だ」「土下座して謝れば過去のことは水に流そう」といったデヒの屈辱的な言葉を思い出すたびに、次の行動に踏み出しています。これは行動に必要な「勇気」や「自信」や「信念」や「情熱」が単なる観念ではなく、「人物の影響」によるものだということを物語っています。  行動は「人物の影響」を受けた結果です。頭でいくら「こうした方がいい」「こうすべき」といった理屈を考えても、行動できるようにはなりません。理屈の上ではそうした方がいいとわかっていても、「人物の影響」がなければ行動できないのが人間です。  勉強をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか勉強する気にならない。運動をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか運動する気にならない。仕事をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか仕事をする気にならない。こうした悩みは、「人物の影響」の軽視に原因があります。 『梨泰院クラス』は復讐劇なので、仕事の原動力が復讐心になっています。復讐心が仕事の原動力になることは現実では稀ですが、誰かに対する恩義や感謝の念から、「自分も同じように生きたい」と考えて同じ仕事に就くことは珍しくありません。自分が誰に向けてどんな仕事をしたいのか悩んだ時は、自分が誰にどんな恩恵を受けてきたのかを振り返ることで、答えが見えてきます。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

人生を変えるマインドレコーディング

人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

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