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ローランド様がタキシードにこだわるワケ。「恥をかくことがない最強の一着だ」

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第230回 タキシード「現代ホスト界の帝王」の異名を持つローランドは現役時代から仕事着としてタキシードを愛用しています。タキシードについて、彼は著書『俺か、俺以外か。ローランドという生き方』(KADOKAWA)で、「どこに行っても恥をかくことがない最強の一着だ」「良いタキシードを着ると、自然と所作も美しくなる」「男たるものタキシードだろ!」とその美点を力説しています。  また、単にタキシードを愛用しているだけではなく、品質にもこだわっています。彼が着ているタキシードは、イギリス・サヴィルロウにあるハンツマンのビスポークです。ハンツマンは王族や映画スターを顧客に抱えるテーラーの名店として知られています。

ローランドがタキシードにこだわるわけ

 彼はなぜそこまでタキシードにこだわるようになったのか。人は誰かに心を揺さぶられることで、決断や行動ができるようになります。それが人物の影響です。ローランドが影響を受けたのは、漫画『夜王』に主人公のライバルとして登場する、上条聖也です。 『夜王』はホスト達の物語です。上条聖也はそのホストの一人で、「傲慢なナルシストのようでいて、実は面倒見がよく努力家」というキャラクターです。ローランドはこの『夜王』をバイブルと崇め、上条聖也を「俺が尊敬する唯一のホスト」と賞賛しています。そして、「上条聖也という男も常にタキシードで出勤している」と自分との類似点を挙げています。また、YouTubeにアップしている動画では、自分の髪型についても、「(聖也を)真似してるとこありますね」と明かしています。

架空のキャラクターから受ける影響

 この時のローランドの心情は「お手本」です。ホストで成功することを望んでいる人間が、ホストとして成功しているキャラクターに習おうとするのは、自然な心情です。このように影響を受けた相手に自分を重ねると、人は決断や行動ができるようになります。  彼が影響を受けた上条聖也は架空のキャラクターです。しかし私たちは架空のキャラクターに対して、現実の人間以上に影響を受けることがあります。『俺か、俺以外か。』を読むと、そのことがよくわかります。  ローランドはタキシードにこだわる以前からスーツ姿に憧れがありました。彼が中学生だった頃、世間ではネクタイを緩く締めて、スニーカーを履き、ズボンを腰穿きにするスタイルが流行していました。しかし、彼はそうした流行には乗らずに、ネクタイをしっかりと締めて、革靴を履いて、ブレザーの制服をキチンと着こなしていたと言います。  この制服の着こなしにも、タキシードと同じように「人物の影響」がうかがえます。彼が影響を受けたのは、小学校低学年の時に見た映画、『ゴッドファーザー』に登場するマフィアです。彼はゴッドファーザーについて、次のように記しています。 「主人公はイタリア系アメリカ人マフィア、ドン・ヴィトー・コルレオーネ。家族を愛し、部下からの信頼も厚い。なによりも洗練された物腰と着こなしに、釘付けになった。映画に出てくる男達は、スーツ姿。『洗練された、エレガントな男はカッコいい』。8歳か9歳の俺の胸に、それは深く刻み込まれた。」  ヴィトー・コルレオーネは架空のキャラクターですが、中学時代のローランドはその影響によって、制服をだらしなくではなく、キチンと着こなす選択をしています。こうした架空のキャラクターの影響は、行動範囲や交友範囲が狭い学生時代に顕著です。身近に偉人や大人物がいることは珍しいため、私たちはその不足をフィクションで補おうとします。
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影響は複数あっていい
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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