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現金派の人にイライラ。キャッシュレス社会が生み出す「速度格差」

現金派がキャッシュレス移行する可能性は……

キャッシュレス これは現金対応のレジとキャッシュレス対応のレジが分かれていないことによる現象で、最近ではコンビニも「キャッシュレス専用無人レジ」というものを設置していたりする。が、このようなレジは今の時点では普遍的なものではない。  ならば現金派の人に交通系ICカードを持ってもらおう……と考えても、それは一筋縄ではいかないのではという声もある。 「常連のお客様の中には、券売機の使い方を覚えない方もいます。そういう人にキャッシュレス決済の方法を教えるというのは……」  そう首を傾げるのは、都内の飲食店に勤めるBさん。 「私の店では券売機で食券を買っていただく仕組みなのですが、現金支払いのお客様がもたつくことで混雑することは確かにあります」  が、だからといって現金派の人がキャッシュレス派になるかというと、それはあり得ないのでは……というのがBさんの見解である。もちろん、上述のAさんのように最近キャッシュレス決済を取り入れたという人も少なくないはずだが、この部分にも一種の情報格差は存在する。

社会がキャッシュレス化する「過渡期」

 今現在は、地方都市でも急速にキャッシュレス決済が広がっている局面だ。しかし、それは「社会のキャッシュレス化」が未だ中途半端であるということでもある。  思えば筆者が初めて海外へ渡航した時は、紙の航空券がeチケットへ移行する只中だった。ボーディングパスのセルフ発券機が登場したのもこの頃。これで搭乗手続きが円滑に進む……と思いきや、実際は発券機の前に行列ができる有様だった。「これ、どう使うの?」と質問する搭乗客ひとりひとりに航空会社のスタッフが対応していたのだ。「知っている人」と「知らない人」がひとつの列に混在すると、どうしても「知らない人」に歩調を合わさざるを得なくなる。  今回の記事で取り上げた問題も、キャッシュレス決済が社会インフラとして定着する過渡期の現象と捉えることができる。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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