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<純烈物語>「紅白に出られても伝わらなければ忘れられてしまう」リーダー酒井一圭が緊急事態宣言下考えていたこと<第79回>

酒井に流れる「あばれはっちゃく的なもの」

「そこは俺自身の性分がアクティブというか、“あばれはっちゃく的なもの”があるんでしょうね。みんながアッパーな時は、あまり自分は必要ない。それが2020年は発動したよねえ。肉体的なことにかぎらず、頭の中もアクティブでい続けた。みんな停まっちゃって白紙になったからこそ、そこを変えたもん勝ちだろ。じゃあ何を書こうかという感覚になりました。  5月中に種蒔きして、世の中がマシになったら秋に動くぞと決めて、その間も頭はずっと動き続けていた。ステージには上がれないけど、いつも以上に脳をフル回転させて受験生のようでしたよ。芸能界における東大のようなものがあったら、間違いなく俺は受かっているね」  頭がアクティブといえば聞こえはよくとも、あまりに抱え込む量が多すぎるとメンタルがやられてしまう。「マッスル」時代の盟友であるスーパー・ササダンゴ・マシンと顔を合わせると、出るのはやはり酒井のことになるのだが、いつも「一圭さんはそのつど自分で判断を下さなければならない立場にある。大変だと思います」と言っていた。  ササダンゴ自身も普段は新潟の金型工場・坂井精機代表取締役として日々、判断を迫られる立場にある。その言葉を伝えると酒井は「あいつだってそれをやってんだろ!」と即座に突っ込むのだが、自分の舵取りによって多くの人たちに影響を及ぼすのは事実。そのプレッシャーに精神が蝕まれることはないのだろうか。 「シンドくないです。なぜなら、いつも即答だから。もちろん、即答といってもその場の思いつきやいい加減に答えるんじゃなく、即答できるためにひたすら情報を処理した上での答えです。2020年に関しては、サッカーのフィールドが4つ、5つ並ぶ中で全部の試合に出場し、同時進行でプレイしているような感覚でした。これが1試合分だと重いのよ。  たくさんのプロジェクトがあると、即答して軽くできる。重い対象が消えてくれるから働きやすくなるし、不安になったところへいってポンと答えれば、みんな燃えたり勇気が湧いたりするでしょ。ずっと同じところにいると、コロナでずっと家にいるのと同じで重い。家族や純烈以外にも、ほかのプロジェクトをやった方がいいんだとハッキリわかった」

「俺は年に何日いればいい?」と妻に問うと……!?

 家にいる間、酒井は妻に「俺は年に何日いればいい?」と聞いた。返ってきたのは「2日」という、なんとも現実感丸出しのひとことだった。  旦那の分も含め毎日三食キッチリ作るのは、主婦として重いのだと家の中で同じ空気を吸っていて理解できた。子どもたちもそうだが、みんなが散開しそれぞれの時間を持つことでうまく家族が機能していく。それは、自分自身の変わらぬ役回りともつながっている。 「自分は直感がパーンと出るように膨大な準備をするのが一番向いているんだと思います。純烈結成前から、いろんなことがあったからこそ僕もいる意味があるというか、のどかな風景の中で安定していたら酒井一圭は邪魔でしかない。なんか事件起こらないの?っていう人だから。純烈は火事場に強い、またそれが多いのは、そこから来るんでしょうね。  無名だった頃、ボイストレーニングの先生をしていただいた琴姫さんに言われて肝に銘じていることがあって。『表向きにいい時こそ、裏では大変なことが起きているのがエンターテインメントの世界。リーダーさんはそれを常に考えて頑張ってね』。みんながやった!と喜んでいる時に何かがくるぞ。ならばそれさえ乗り越えればまたいいことがくる。ヘンなことが起きている時の方が、希望を持てるって考えちゃうんです」  こちらが質問を投げかけることで、明確な考えとして言語化しているものの、本当はもっと感覚的なスタンスで酒井はコロナ禍の中、やってきたのだろう。傍目から見て「リーダーは大変」と映っても、本人は「仕事っちゃあ仕事だけど遊びだからケラケラ笑っていて、シンドいのをやっている気がしない」が、じっさいのところらしい。  受け手側がニヤニヤしてくれれば、それでいいと思っている。そして、そのためには「遊びを本気でやる」のが大前提。  だから、ニヤニヤしてもらうための妄想もスケールがやたら大きい。酒井一圭はコロナで先が見えぬ中、こんなことを頭の中で描き誰も知らぬところ一人勝手にニヤついていた。
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「一番いいところでしくじりたい」
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