ドラッグストアで「なぜPCR検査を受けられないの!」疲弊する薬剤師
新型コロナウイルス感染拡大が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に拍車をかけた。“お客様は神様”ではないが、客から理不尽なクレームを受けたり、過剰なサービスを求められたりすることが増えているという。
我先にマスクを求める客がドラッグストアに押し寄せ、数々のトラブルを生み出したことは記憶に新しいが、流行から1年以上経過した現在まで続くカスハラの実態とは、一体どんなものだろうか。マスコミの報道内容によって変化があるとか……。
大手ドラッグストアチェーン店で薬剤師として働く上野博樹さん(30代・仮名)は1年を通して、クレームや問い合わせの内容に変化を感じていた。
「去年のはじめごろはマスク、その後は消毒液、紙製品、精製水など、メディアで取り上げられたものを求める人が殺到してクレームになる感じでした」(上野さん、以下同)
コロナが流行し始めた頃は、マスク需要の急激な高まりや、“転売ヤー”の出現などで在庫切れになってしまうことが多々あった。そのため、「なんで朝から並んだのにマスクがないんだ!」「在庫を隠してるんじゃないのか?」などと言われたそうだ。
朝早く来たのに買えなかった、と不満を抱いた客が多いのか問い合わせは午前中に集中、男女ともに中高年の客という印象だそう。
「あと、マスクはお一人様3つまでに個数制限をしていましたが、30個以上レジに持ってきた中年男性もいました。すると『どうして売ってくれないんだ!?』と騒がれてしまって。こちらとしても販売したいのですが、より多くの方に手に取ってもらいたいとの想いがありまして……」
また、上野さんが勤務する店舗では、密を避けるため朝から並ぶことは控えるように告知していた。だが結局、マスクなどの人気商品の販売日には行列ができてしまい、整理券を配って対応したのだとか。商品の供給が安定し始め、徐々にこうしたクレームは減ったそうだ。
しかし最近、検査やワクチン、治療薬などの報道が増えてきた影響か、カスハラの内容に変化が見え始めた。
「最近はPCR検査についての問い合わせのようなクレームも増えました。『ここで受けられないんですか?』といったものです」
PCR検査キットの販売自体はしているが、自分で検体をとって直接クリニックに送るといった方式のもの。薬局で薬剤師などが検査するものではないので、ここでは検査ができない旨を伝えた。そしてキットの使い方を説明したが……。
「『どうしてできないんですか? もういいです!』と少々怒って帰られました。中には『じゃあいいです!』と言って帰ってから『やっぱりください』と戻ってきた人もいました」
こうした問い合わせをする客はひとりだけではない。複数人いたそうだ。
マスコミの報道に合わせてクレーム内容が変化
検査やワクチンに関する“問い合わせのようなクレーム”が増加
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5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き27歳。 たまに写真も撮ります。
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