最終の直線。カフェファラオが3番手くらいから一気に追い上げる。楽天家の僕は少なくとも30万円が確定したと思い込み、尻がムズムズし始める。毛根に汗をかき、30万円の厚みを思い出していた。 　案外断トツというわけではなかったが、カフェファラオが確実に1着なのがわかるようにゴールした。余韻を噛み締めてスロー再生まで見る。カフェファラオが1着なら勝ち。競馬はそんな簡単なものではない。 　2着の馬を見て「知ってる、この馬は確か買ってる」と安堵し、馬券を見て悲鳴をあげる。 　2着、エアスピネル。僕の余計なアレンジによって馬単から外された馬。3連単ももちろん3着で買っていた。 　競馬AIが言った通りのレース展開に、競馬オタクの言う通りの着順。ここまで正確な未来予想図を台無しにするのは最早、僕の十八番になっていた。乗る人は間違えていない。ただただ僕から漏れた醜い欲が30万円を0円にした。 　人から何かを学ぶ時、完全に吸収してからでないと余計なアレンジを加えてはならない。 　これは僕との約束だよ。明日からまた働きます。良い夢見ました。後悔で禿げそうです。 〈文／犬〉フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩