お金

個人情報問題で揺れるLINEは人の生活を幸福にするのか?注目したい4つの分野

3.フィンテック

 今回の経営統合によって、決済分野で「PayPay」と「LINE Pay」が競合していますので、ここは統合を行っていきます。重なっていて、「ムダ」や「複雑さ」を生むものは統合していく方針です。 「決済」は消費者の全ての行動を抑える部分で、eコマースでモノを「買う」、レストランや旅先の「予約する」、そして「支払う」といったユーザーのアクションでお金が動くわけです。また、LINEで給料の振り込みが可能になれば、お金の流通の流れがZホールディングスの中で完結してしまうことも十分にあり得ます。  さらに、フィンテックに話を戻すと、Zホールディングスは「決済」だけでなく「銀行」「証券」「保険」「カード」までも押さえています。銀行は「ジャパンネット銀行」(4月5日からPayPay銀行)、22年開業予定の「LINEバンク(LINEとみずほフィナンシャルグループの共同出資銀行)」、証券は「LINE証券」、保険は「Yahoo!保険」と「LINE保険」があり、クレジットカードは「Yahoo!カード」があります。これらの事業を横断的に活用することで、ユーザーのニーズに合わせた、金融商品やローン、保険なども提案できるわけです。

4.社会

 最後の注力分野は「行政DX」、「防災」、という社会課題の解決に取り組んでいきます。  21年中にYahoo! JAPANのサービスや「LINE」上で、行政手続きの情報の拡充と、内閣府の「マイナポータル」と連携した行政手続きのオンライン申請サービスを開始します。行政の手続きは煩雑で、分かりにくいものが多いですが、LINEを利用して情報収集と手続きができるようになれば、効率化が進むことが期待できます。  また、災害の多い日本で、防災の情報は価値が高まるものとなっていきます。  平時における生活エリアの危険度チェック、災害警戒時のパーソナルタイムライン、災害発生時の避難案内、復旧・復興時の支援マッチングなど、防災にまつわるさまざまなステージにおいて、最適な情報を提供してくれます。
馬渕麿理子

馬渕麿理子

 最後に、いつも私は、物事の根幹が何かを見るようにしています。  Zホールディングスはソフトバンク傘下であり、さらに、その上にはソフトバンクグループの孫正義会長という存在があります。今回の経営統合の頂点にいるのはソフトバンクグループの孫さんです。孫さんの考えはすべてにおいて、業界のNO.1でなければならないのです。  そう考えれば、今回の経営統合は、eコマース含めてNO.1プラットフォーマー達をソフトバンクグループの中におさめるという、孫さんの構想の1部分であることが分かるでしょう。  技術的な快適さと経済的な富を得た先の、「未来都市」に私たちは向かっています。  次のフェーズで、NO.1プラットフォーマーになるためには、ガバナンスを強化は当然のことながら、「真の意味で豊かさを感じる」サービスを提供できるかどうかがカギとなります。  次の時代の「覇者」となるべく、GAFAもここを見据えているのではないでしょうか。私たちの生活に密着した、巨大なプラットフォーマーである新生ZHDは果たして、覇者になれるのでしょうか。 <文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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