仕事

なぜ、リラクゼーションスタジオが特定保健指導を?Re.Ra.Ku社長に聞く

江口康二 馬渕磨理子

江口康二氏(株式会社メディロム社長)、馬渕磨理子(筆者)

完走率9割超のメタボ対策

 国内302店舗(2021年1月現在)の業界最大手級のリラクゼーションスタジオである「Re.Ra.Ku」がヘルスケアアプリ「Lav」を開発し特定保健指導にも参入し、多くの保険者、企業から支持されています。  特定保健指導とは健康診断を元にして40歳から74歳までのすべての被保険者・被扶養者を対象にする指導のことで、メタボリックシンドロームの予防と改善が目的とされています。  株式会社メディロムが特定保健指導を手掛けることで、完走率92%、平均7キロの体重減の実績をたたき出しています。  今まで、完走率がなかなか上がりにくかった特定保健指導をなぜ、江口康二社長は成功させているのでしょうか。  そこにはリラクゼーションスタジオで培ったノウハウによる綿密な経営戦略がありました。  メディロム江口康二社長が語った「この世から生活習慣病を無くす対策事業」の全貌をお読みください。(聞き手・馬渕磨理子) 【※ナスダックに上場している同社は、日本からはSMBC日興証券の本支店を通じてADR(米国預託証券)を購入できる】 江口康二 メディロム

「月1回の電話だけで、痩せると思いますか?」

馬渕:メディロムは、特定保健指導に参入されていますね。 江口:特定保健指導は、厚生労働省から指定されている生活習慣病やメタボリックシンドロームの改善プログラムです。メタボリックシンドロームとその予備軍に該当する人は全国で約2000万人存在しています。当社で開発したオンデマンド・トレーニングアプリ「Lav(ラブ)」で特定保健指導も実施できるようになっています。 馬渕:なぜこのタイミングでメタボ対策に乗り出しているのでしょうか。 江口:対象者の方々のアンケートでも「健診は面倒くさい」という意見が多いです。病院に行かなくなる人が多いのが現状です。他に、1ヶ月に1回電話で保健師や管理栄養士から運動習慣や食事の管理などの指導があります。月1回の電話だけで、痩せたいと思いますか? 馬渕:痩せる気はしないです。 江口:そうです、これでは効果が出ないので予算も使われていない。対象者の方々にとっては面倒くさく結果が出ないのです。ここに「社会的課題」があると捉え、我々の強みを生かして解決しようと思いました。 馬渕磨理子

メタボを改善しなければ“罰金”

馬渕:潮目が変わった時があったそうですね。 江口:2018年の11月に厚生労働省の方針が一部変わりました。一つは、罰金制度です。 馬渕:罰金ですか! 江口:厚生労働省のガイドラインが一部変わりました。一つは、支援金額制度の変更です。加盟保険者の特定保健指導の実施率が基準値を下回る場合、保険者が国に納付する支援金額が引き上げられてしまいます。もう一つは、特定保健指導を医師、保健師、管理栄養士以外でもできるようになり、規制緩和に進んだのです。ただし、特定保健指導の前後で管理栄養士が、どれだけ数字が改善したのかをチェックします。過程のコーチングは、誰でも良いと自由化されたのです。 馬渕:この規制緩和の動きは、なぜメディロムに追い風だったのでしょう。 江口:我々は、「Re.Ra.Ku(リラク)」という店舗ビジネスをやっていますので、既に2000名以上のセラピストが教育を受けた状態で働いています。手技だけでなく健康に関する知識も自社の研修を通して学んでいます。そしてセラピストの中には管理栄養士もいます。 馬渕:それでは、セラピストの皆さんがコーチングをしているのですか? 江口:はい。セラピストとして活躍もしながらヘルスケアアプリ「Lav」を使用してオンライン上でも健康のサポートができるようになったのです。セラピストは店舗で勤務していない空き時間を使用し社内副業が可能になりました。また、対象者の皆さんにはコーチを選べるシステムを導入しマッチング制度を取り入れました。 馬渕:実店舗のセラピストにオンラインで健康管理のサポートをしてもらえるわけですね。
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