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感染対策も万全『アカシアの雨が降る時』5月から公演/鴻上尚史

認知症で記憶が逆行、70歳から20歳に

『アカシアの雨が降る時』は、登場人物は3人です。  まずは、70歳の香寿美という役で久野綾希子さん。  久野さんは、劇団四季で数々の主役を演じて、ぶいぶい言わせたミュージカル界の「歌う伝説」ですが、2年前、『ローリング・ソング』で初めてご一緒した時に、素敵なコメディエンヌだということが分かりました。  歌えて、演技ができて、笑いができるなんて、なんて素敵なの、とまた出演をお願いしました。  久野さんの演じる女性は、70歳で認知症になり、自分のことを20歳だと思い込みます。  認知症では、最近の記憶がなくなり、自分が一番輝いていた時代の記憶が現れる、というのは珍しくないのです。ただし、彼女の記憶は、1972年。つまりは、「恋と革命」の輝きが失われ、時代が黄昏始めた時期です。  彼女の息子役に、劇団カムカムミニキーナの演出家であり俳優の松村武さん。ものすごく芸達者です。  そして、彼の息子、久野さんから見ると孫には、2.5次元ミュージカルなどで最近期待の若手、前田隆太朗君。

万全の感染対策でお迎えします

 久野さん演じる香寿美は、孫の顔が自分の夫とそっくりなので、結婚前の、自分の恋人だと思い込んでしまうのです。  物語は、彼女が一時的に倒れ、入院した病院から始まります。  意識を回復した香寿美は、自分のことを20歳だと思い、20歳の時に、どうしても実現できなくて、ずっと心の奥底に残っていた「ある目的」のために、病院を抜け出します。  おばあちゃんが大好きな孫は、心配でついていきます。  でも、香寿美にとっては、それは孫ではなく、やがて結婚する交際相手であり、自分の「ある目的」には、反対するに決まっている古風な男性なのです。  久野さんと前田君なので、何曲か歌ってもらおうと思っています。  こんな状況ですが、もし、よろしければ、劇場でお会いできたらと思います。万全の感染対策でお迎えします。5月15日から6月13日までです。詳しくは、タイトルでググって下さい。 【公式サイト】⇒サードステージ「アカシアの雨が降る時」
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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