ライフ

130万円で買ったパテックを手取り150万円で売った話

委託販売のメリットと制約

パテックフィリップゴールデンエリプス3738/100J-012

文字盤のプレートは、K18で作られている

 ゴールデンエリプスのような「マニアック」なモデルは、お店側からすると需要を読みづらいため、買取だと「高値」にはなりづらいでしょう。その一方で、ネットオークションなどを利用しても、価格帯が高値であるため、買い手側の視点にたつと「不安」な気持ちになるかもしれません。近頃では、腕時計の個人取引において、「下見したい」といって強奪するといった事件も起きているため、売る側としても個人取引には不安要素があるわけです。  それに対して、「委託販売」では、お店が自分の腕時計を「お店の商品」として預かってくれるため、上記の問題をすべて解決してくれるのです。  とはいっても、実はこの「委託販売」、近年まであまり一般的ではありませんでした。例えば、私が「腕時計投資のすすめ」を書いた2015年では、委託販売を積極的に行っているお店がなかったといえます。  もちろん、2015年当時でも「委託販売」という方法はあったのですが、その多くに制約が多かったのです。例えば、ある有名店では、委託販売をする際に、条件としてお店経由で正規オーバーホールを実施するということがありました。  その腕時計に不具合はないのですが、「仮に1ヶ月前にオーバーホールしたとしても、お店経由で正規オーバーホールしないと取り扱えない」という答えだったのです。さらに、取り扱う腕時計も限られていて、ゴールデンエリプスのようなマニアックなモデルは「対象外」となっていても不思議ではなかったのです。  しかし今では、新たな腕時計販売店によって、積極的な「委託販売」が行われている様子があります。  そこで、委託に力を入れている「コミット銀座」にゴールデンエリプスを持っていったところ、私が今までに体験した委託とは全く違う様子に驚きます。    かつて、腕時計店で感じたような「制約」的なものはなく、「このぐらいで売れそう」と提示された額も、全く私が思ったのと同様だったわけです。  3738/100J-012の中古売出しは、この数年ないため、「いまいくらぐらいが売れ筋なのか」という判断がつきづらいのですが、他のパテックフィリップや海外のゴールデンエリプス相場を見ると、私は170万円前後だと判断しました。

預けた数日後に「売れました」と連絡が

パテックフィリップゴールデンエリプス3738/100J-012

左が購入時の明細書、右が売却時の買取伝票。2017年11月に129.8万円で購入、2021年4月に150万円になった

 そして、コミット銀座で提示されたのもほぼそれと同様。ただし、コミット銀座の販売額は消費税込となるため、私の手取りは、消費税分と委託手数料3%を引いた額になります。  170万円で売却したならば、150万円が取り分となる計算になるわけですが、これは持っていく前から想定済みでした。  ですから、私は早速コミット銀座で委託販売することしたのですが、売れなくても費用が発生しないため、「売れたらラッキー」ぐらいで考えていたわけです。  実際、ゴールデンエリプスは気に入っているわけですから、仮に売れずに、手元に戻ってきても縁があったという気持ちになります。また、売れたならば、20万円ほどの利益となるため、それはそれで嬉しいといえるわけです。  そして、お店に預けてから数日後、「売れました」という電話をもらったのですが、どうやら情報を出してから2日間ぐらいで売れてしまったようです。委託販売というと、なんとなく売れるまでに時間がかかるという印象がありますが、かなり早い段階で売れたことに驚きました。  そうして、私はお店に行ってから、1週間も経たないうちにゴールデンエリプスの現金化に成功。3年前に約130万円で買った腕時計を手取り150万円で売却したのです。  というわけで、今回も腕時計投資を成功させたわけですが、ゴールデンエリプスのようなマニアックなアイテムでも、こういったことが実現できるのです。まして、お店で買って、お店で売ったわけですから、何ら特別なことは一切していません。  今回、このゴールデンエリプスを売却して思ったのは、「利益は20万円でも、貯金としての魅力もある」ということでした。実際、預金口座は150万円のプラスとなったため、以前よりも「お金持ち」になった気分。ゴールデンエリプスを買っていなかったならば、この100万円単位のお金は、クルマの整備代などで、「純粋な消費」として消えてしまっていたかもしれません。 <文/斉藤由貴生>
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

1
2
3
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート
ハッシュタグ