娘から「死にたいのか?」と言われても…ワクチンを打ちたくない人たちの理由
医療従事者に高齢者……と、ついに一般人向けの接種も始まった新型コロナウイルスのワクチン接種。予約が取りづらい、接種までのスケジュールがわからないなど一部で混乱は続いているが、いち早く接種を完了した人々からは、安堵の声も聞こえてくる。
ワクチン接種は「決まり」ではないものの、一刻も早くコロナ禍を抜け出したい多くの人々が「我れ先に」と思うなかで、「ワクチンを打ちたくない」人たちの心境は複雑だ。
「ワクチンは打たないというと、かなり驚かれました。上司は人それぞれの自由だから、なんて言っていたのに翌日には豹変。ワクチンを打たないのなら職場に来るな、と叱責までされたんです」
関西在住の准看護師・浪瀬ゆかりさん(仮名・30代)は大の注射嫌い。痛いからなどといった理由ではなく、小学生時代に予防接種を受けたあと、体調に異変を感じ、注射跡が赤く大きく腫れ上がったからだ。
以降、予防接種の類は避けてきたが、コロナウイルスの感染には恐怖を覚え、直前まで迷った。
「気分も悪くなるだろうし、感染するのと同じくらい怖い。年齢も若くないし、ワクチンを接種したせいで余計に悪くなるような気がして。やっぱりやめようと思ったんです」(浪瀬さん)
これまでも職場での予防接種を回避したこともあったため、今回も同じように避けよう、くらいの気持ちでいたが、上司は浪瀬さんを執拗に責め立てた。
「陰謀論を信じているのかとか、コロナは風邪だと思っているのか、なんて言ってくる人もいましたが、そうじゃない。ワクチンの有効性は分かっているつもりですし、接種した高齢者が気分的にも明るくなって、元気に帰っていかれる姿も見ています。ただ、私にはワクチンは合わない、それだけの理由なのに……」(同)
もちろん、一般人からしてみれば、医療従事者がワクチンを打っていない、となれば違和感も覚える。しかし、体に合わないという理由があるのに、それを強いるような行為は、果たして正しいと言えるのか。
埼玉県在住の自営業・古田輝彦さん(仮名・70代)は、基礎疾患もある高齢者ということで、かかりつけの医師から「優先的にワクチン接種を受けられる」と連絡を受けた。
実は古田さんも、かつて予防接種を受けた後、体調を崩して寝込んでしまった経験があり、今回のワクチン接種にも及び腰だった。だが、今回ワクチン接種を「拒否」した理由は他にもある。
「ワクチンがまだ日本に届かない頃、テレビや新聞はワクチン接種の後に死亡した海外の人のことをよく取り上げたでしょう?
その後、日本人でもワクチンの接種が受けられるようになると、報道は“いつ打てるのか”ということばかり垂れ流して、不安な国民を煽っているかのように感じるのです」(古田さん、以下同)
確かに、本当にワクチンを接種しても大丈夫なのか、という議論は、連日テレビのニュースなどでも取り上げられていた。
ワクチン賛成派と慎重派の識者が議論を交わす様子なども眺めていたが、いざワクチン接種が始まると、そんな議論は消えてなくなった。
代わりにマスコミが騒ぎ始めたのは、ワクチン接種が遅い、ワクチンの量が足りない、ということだ。
一方で、「ワクチンを打ちたくない」という人たちも存在する。一体どんな理由があるというのか、当事者に話を聞いた。
「ワクチンを打ちたくない」人たちの理由
マスコミに踊らされたくない
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