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ネット切断、ATMは停止…ミャンマー人を突然襲った「国軍からの死刑宣告」

「永杉さん、軍事クーデターが発生しました。アウン・サン・スー・チー氏も拘束されたようです」2021年2月1日、早朝。日本に戻っていた私は、突然ヤンゴンのミャンマー人スタッフから連絡を受けた。  2020年11月8日の総選挙で不正があったという口実で、アウン・サン・スー・チー国家顧問とウィン・ミン大統領ら閣僚が拘束され、非常事態宣言が発令、国軍総司令官であるミン・アウン・フライン将軍が、すべての国家権限を握ることになったというのだ。
ミャンマー

抗議デモでは多くの人々がアウン・サン・スー・チー氏の写真を掲げている

 2011年、テイン・セイン大統領の下、60年に及ぶ軍事独裁政権から民主化へと一気に舵を切り、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、年率7%という目覚ましい経済成長を遂げてきたミャンマー。その民主化による発展がわずか10年で武力により押しつぶされ、再び軍政へと後戻りを始めることになるとは……。 ※本稿は、永杉豊『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

インターネットを切断され、生活すべてを壊された

 クーデター当日、まず国軍が行なったのはインターネットの遮断である。国民を情報から切断し、外部との連絡を取れないようにする。独裁政権が行なう常套手段である。当日の未明から始まったネットの遮断は、一旦13時頃に復旧するも、2月6~7日には再び遮断された。  その後、携帯電話のモバイル通信は遮断され、安定して接続できるのは、わずか数%しか普及していない屋内の光ケーブル回線のみで、慌てて契約する人が続出した。  夜の1時から朝9時のインターネット接続も禁止となり、光ケーブル回線でさえもWi-Fiが断続的に切断される状態が続いた。  さらには2月3日、ミャンマー情報省は国内の電話会社やインターネットプロバイダーなどに命令し、「一部の人物がFacebookを利用して、フェイクニュースや誤った情報を拡散させており、国民の間で誤解が生じている」として、「安定」の維持を目的としてFacebook、続いてメッセンジャー、Instagram、Whats App、TwitterなどのSNSの利用を遮断する措置を取った。

抗議デモ活動の中心はZ世代

ミャンマー

2月11日、コスプレ姿でデモに参加する若者たち(Facebookより)

 この軍事政権のやり方にミャンマー人の女子学生は怒りをあらわにする。 「今回の抗議デモ活動は、私たちZ世代と呼ばれる若者が中心だと言われますが、もちろん30代から1988年の『8888』民主化運動を経験した50~60代の人々までが一緒になって戦っています。その中で私たち世代が多く参加している理由は、昨日まで普通にあった日常を突然壊されてしまったという恐怖、そして怒りでしょう。  あの日、いきなりインターネットを切断され外部との通信が遮断されました。オンライン授業も受けられない、就職活動中だった学生は連絡の手段も無くなった。もちろんゲームなんてできません。  生活面ではもともとコロナ禍で行動制限がかけられていた上に、国軍から外出制限まで出された。これでは食料品も買いに行けません。銀行のATMもほとんど停止され預金を引き出せず、手元には現金が無い。明日からどうやって生活していけばよいのかと、深刻な状況に陥りました。これは国軍から私たちに『今日からお前たちには自由はない』と、死刑宣告を受けたようなものです」
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はじめて参加した選挙の結果が拒否されたことへの怒り
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1960年神奈川県生まれ。ミャンマー及び日本でニュースメディアを経営するジャーナリスト。MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO、MJIホールディングス代表取締役。学生時代に起業、その後米国永住権取得。ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。2013年よりミャンマーに在住。月刊日本語情報誌「MYANMAR JAPON(MJビジネス)」、英語・ミャンマー語情報誌「MJ+plus」を発行、ミャンマーニュース専門サイト「MYANMAR JAPONオンライン」を運営、3メディアの統括編集長も務める。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」、TVショッピング「TV SHOP」を企画運営。UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、JCCM(ミャンマー日本商工会議所)、ヤンゴンロータリークラブに所属。(一社)日本ミャンマー友好協会副会長、(公社)日本ニュービジネス協議会連合会特別委員。東京ニュービジネス協議会国際アントレプレナー賞受賞。
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ミャンマー危機 選択を迫られる日本

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