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「このクソボケ」「ノロマ」怒声が飛び交う現場。職人の上司ガチャ失敗談

「このクソボケ!」「ノロマ!」

 部下たちは上司Sのパワハラに悩まされていた。ある現場では、機械音がすさまじく、マスク着用のうえで作業していた。 「当然、声は通りにくい状況でした。同僚たちは必死に指示を聞き取ろうとしていました。何度か聞き返して、ようやく『コンパネ』とか判別できるのですが、Sの場合は『このクソボケ!』『ノロマ!』などの言葉が飛んできます。返事をしても『返事せえや!』。体育会系の仕事とは分かっていても、もはや意地悪としか思えません」  それでも少しずつ仕事に慣れてきた佐藤さん。現在は「また赤ん坊が駄々をこね始めた」くらいの気持ちで聞き流すことにしているそうだ。 「もう社長に気に入られて出世するしかありません。がんばります」

失敗したら最後、泣いてしまう同僚も

 関口亜美さん(仮名・30代)は、伝統美術に関する仕事に就いていた。上司は社長1人で従業員10名以下の小さな工房だったという。 「仕事は専門的な知識と技術が必要です。私は、特に学んでこなかったので全くの素人でした。社長は、『見ていたらすぐ覚えられる』『教えるほどのことではない』と作業自体を教えてもらうことはありませんでした」  とはいえ、お客様の大切な品を扱うために失敗は許されない。見様見真似で作業を進めるしかなかった関口さんだが、案の定、失敗してしまうこともあった。 「失敗したら最後です。従業員が集められ、『誰がやった!』『どうしたらこんな失敗をするんだ!』と叱責され、泣いてしまう人もいました。きちんと教えてももらえず、聞いても『見ていればわかる』の一点張り。なのに、失敗に対して厳しすぎる社長でした」
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給料未払いの理由は「まだ給料計算が終わっていないから」
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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