他にも問題は山積みだった。 「給料は現金手渡しでした。それはいいのですが、給料日に満額支払われないことも多く、『家賃分だけでも先にください』と半泣きで頼まなければならない始末です」 　給料が支払われない理由は、「まだ給料計算が終わっていないから」だった。 　まさか、そんなことを言われると思ってもいなかった関口さん。いよいよ我慢の限界、退職を考え始めた。しかし、一筋縄ではいかなかったようで……。 「退職しようと思い就業規則を見る必要がありました。入社時は『今作成中だから』とウヤムヤにされ、その後は『見たければ理由を添えて申し出ること』と言われ、社長の机の中に保管されていました」 　就業規則を見たくても「なぜ見たいのか」「退職したいから規則を確認したいのではないだろうか」と言われてしまう。挙げ句の果てには「辞めたい人には見せない」と、理不尽な理由で拒否されてしまった。 　半年後にようやく退職することになったが、その後4名が立て続けに退職していった。「そんな会社だったんですよ」と関口さんは呆れ顔。 　職人ならではの苦労があり、会社によっては独特の上下関係が築かれているのかもしれない。 ＜取材・文／chimi86＞2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。