仕事

クライアントに「NO」と言えない上司にウンザリ。休日や深夜作業は当たり前

 2021年の新語・流行語大賞の候補が発表され、「親ガチャ」という言葉がノミネート。子どもは親を選べず、ガチャガチャ(カプセルトイ自動販売機)のように運要素が強いというものだ。たいていは親のせいで人生が困難に陥っているという文脈で使われるが、そこから派生して「上司ガチャ」までネット上には登場している。
ガチャ

写真はイメージです(以下同)

 仕事において、成長できるのかどうか。それは、自分自身はもちろん、上司にかかっているとも言えるだろう。

成長したい自分と、邪魔をする上司

 不動産業界で働き始め、5年が経とうとしている田口雅夫さん(仮名・20代)は、入社当時に出会った上司についてのエピソードを教えてくれた。 「上司Aは、いわゆる“出戻り”の40代後半。私は、『少し変わった人だなぁ』と思いながらも、うまい具合に関係を築いていました」  Aは、以前勤めていたときも店舗責任者だった。再雇用から1ヶ月で田口さんの勤める店舗で責任者に戻った。 「私がこの会社に入社しようと決めたのが、給料が一部歩合制で頑張った分だけ評価をもらえるところでした。そのためには、自分自身が成長しなければなりません」  田口さんは、「どうしたら売れるようになるのか」「どうしたらお客様から営業として選ばれるのか」を日々考えていた。しかし、当時新人だった田口さんにとって、Aの言動は嫌がらせでしかなかったようだ。

与えられる仕事は単純作業のみ

「Aは、部下に仕事をテキトーに振るような人でした。私はとにかく稼ぎたかったのが本音です。なのに、歩合になるような仕事は与えられず、物件入力や物件の写真撮りばかりやらされました」  田口さんは、仕事自体がつまらないと感じ始め、このままでは経験が積めないことへの不安を抱くようになっていく。そして、ある日……。 「Aから『田口くん、これやっといて』と言われ、他にも手が空いている人がいるのになぁと思いながら返事をしたら、『なにその返事は。もう何もしてやんねーよ』と机をバンと叩き始めたのです」  大きい音にビクッとした田口さん。このとき、仕事に対してやる気がゼロになったという。それから田口さんは、Aの元で1年間働いたが、大した結果も出せず、無駄な時間を過ごしたと後悔していた。 「運よく、私が店舗異動することになりました。上司によって仕事へのやる気も、できることも変わるので、『上司ガチャ』というのも運かなと思います」  異動してからの田口さんは、成績も好調で昇格もできたそうだ。
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顧客に「NO」と言えず、仕事は部下に丸投げの上司
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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