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災害で電車が運休しても上司は「商談に行け」の一点張り…“超遠回り”した部下を襲った“つらい仕打ち”

 台風は日本に近づくと速度を上げるのが一般的だが、8月下旬に接近・上陸した台風10号は、記録的な遅さで長期間にわたって各地に被害をもたらした。  東海道新幹線では三島―名古屋間が3日間の計画運休を実施。東京と名古屋・大阪の大動脈が止まったことで北陸新幹線+在来線特急の迂回ルートに人が殺到したことがテレビや新聞で報じられた。  この台風10号では秋雨前線にも影響を及ぼし、台風の進路から離れた東北や北海道でも大雨に。特に北海道では札幌と道東を結ぶ、JR石勝線が土砂災害により8月31日から9月4日の昼前まで運休。しかし、大手メーカーの札幌支社に勤務する安村智之さん(仮名・32歳)はJRが不通になっているにもかかわらず、帯広へ出張を決行せざるを得なかった。

JRは不通、高速バスは満席でも商談のスケジュールが変更できず…

バス

旭川駅前に到着した帯広行きバス

「出張は9月2日の月曜日。直前の週末は海外ドラマを全話イッキ観していて、テレビやネットのニュースをチェックしていなかったんです。石勝線が不通なのを知ったのは出張前日の1日夕方。しかも、この時点では『再開の見通しが立っていない』って。それで札幌―帯広は都市間バスを調べたのですが、2日朝の時間帯はすでに全便満席でした」  実は、安村さんの会社の都合で商談の日程を一度変更してもらったため、再度の変更は避けたいとの事情もあった。休日だったが急を要する状況なので上司に連絡するも「迂回ルートを使ってでも行ってくれ」と命じられてしまう。 「ウチの会社は出張の際、公共交通機関を利用する決まりになっており、車で向かう選択肢はありませんでした。調べると旭川―帯広に都市間バスがあることがわかりましたが、約束の13時に間に合わせるには旭川駅前7時55分発のバスに乗る必要がありました。でも、札幌からだと始発の特急でも間に合わず、旭川で一泊する必要があったんです」

旭川で前泊することに

 改めて上司に連絡すると「申し訳ないが頼む」と言われ、急いで身支度をして1日夜の特急で旭川へ。駅前のビジネスホテルに泊まり、翌朝のバスで一路帯広へ。 「ただ、乗車時間は4時間弱ととにかく長かった。美瑛や富良野を通るルートだったから車窓の景色は良かったです」  途中、休憩で停車した道の駅では展示していたヒグマのはく製を撮影し、搾りたての瓶牛乳を飲むなど「それなりに楽しんでいた」というが……。 「この時は半分開き直っていたし、楽しまなきゃ損かなって。本当はプライベートで来たかったですけどね(苦笑)」
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日曜夜から移動したのに振替休日も休日手当もなし
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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