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権力の座に長く留まり、腐敗した自民党。野党が取るべき姿勢は/倉山満

野党国対という「いつもの野党」のたまり場の崩壊

 ここに画期的な出来事がある。  12月8日、立民の馬淵澄夫国会対策委員長は共産党と社民党に「野党国対の不開催」を通告した。野党国対とは、言うなれば「いつもの野党」のたまり場だ。立民・国民・共産・社民の四党が結集し、与党の不祥事を追及する算段をする。同時に自民党との「ライン」を通じて、取引をする司令塔でもある。立民の代表選挙後、泉・馬淵ら旧国民民主党系の議員が主流派となり、国対談合政治の象徴のような安住淳は去った。  先に国民民主党は野党国対から離脱し、これで第一党の立憲民主党も共産・社民に手切れを宣言したようなものだ。

自民党はとっくに政権担当能力を失っていた

 共産社民はもちろん、立憲民主党の特定の支持者が宗教的な信念の如くこだわってきた憲法審査会への不参加も、立民は方針を転換して参加することになった。そんなに自民党に改憲をさせたくないなら、堂々と議論して打ち負かせばいい。泉代表は「議論には応じるが、法律でやればいいことを憲法に書き込もうとの姿勢には乗らない」と明言したが、正論だ。  とっくに自民党は政権担当能力を失っていた。自民党議員の甚だしい勘違いは、「官僚の振り付けに上手く踊れるのが優秀な議員」との思い込みだ。自分の頭を官僚に預けている。その官僚がコロナで何をどうしていいかわからなくなったら、政府のアドバイザーにすぎないヤブ医者どもの言いなりだ。  政治家と官僚は根本的に性質が違う。官僚は、決められた路線に従い日々の課題をこなす。政治家は、どの路線に進むのかを決める。

長く続けるだけでは、政治家としての意味はない

 嘆かわしいのが、岸田首相だ。  日々のルーティンをこなしていたら長くは続けられるが、ただ長いだけでは政治家として仕事をしたことにはならないと自覚しているようだ。 「新しい資本主義」を打ちだした。問題は、その「新しい資本主義」とやらを今から有識者会議を集めて議論するとか。岸田首相は「池田勇人を目指す」と宣言しているが、池田とは似ても似つかない。
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野党は「憲政の常道です」と穏やかに迫ればいい
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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