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権力の座に長く留まり、腐敗した自民党。野党が取るべき姿勢は/倉山満

「話し合いの政治」をもたらした池田

 池田の偉大さは、敗戦で日本人が何をどうしていいかわからなくなっていた時代に、「自由こそが大切だ!」と指し示したことだ。殺し合いによって打ち立てた一党独裁の政治ではなく、話し合いの政治。政府が経済を計画し国民は命令に従うのではなく、好きなように商売ができる自由主義経済。  そうした政治的自由や経済的自由を共有できる国々との連帯。池田は敗戦日本を世界の経済大国に押し上げただけでなく、アメリカとの同盟を堅固にしつつアメリカ以外の自由主義諸国との同盟を広げていった。確かに岸田首相が見習うべき人物だ。

権力の座に長く留まり腐敗した自民党の態度

 もう一つ。池田は演説が好きだった。下手だったが、直接国民に自己の所信を訴えるのを好んだ。最初、所得倍増計画を打ちだした時、ほとんどすべての国民は笑い転げた。10年で月給が2倍になど、なるはずがないと。だが池田は丁寧に数字の裏付けを挙げながら「皆さんが一生懸命に働けば必ず実現します」と明言した。国民は半信半疑ながらも、希望を感じた。  また、池田は健全な二大政党制の実現を考えていた。だが、池田の所得倍増があまりにも上手くいき、対抗できる野党が育たなかった。しかし、今の自民党は池田の遺産を食いつぶしているだけだ。権力の座に長くいると腐敗するに決まっている。現に自民党は統治能力を無くしている。それでも「野党に追及されても、直せばいい」と政権与党でいることが自明であるかのような態度だ。

野党は「憲政の常道です」と穏やかに迫ればいい

 ならば簡単だ。野党は今国会での態度のように、政策論争で自民党の誤りを指摘し続ければいい。騒ぐのはマスコミが勝手にやってくれる。騒ぎが大きくなったところで、その時点での野党第一党党首が「岸田総理、お疲れのようですから代わりましょう。与党が行き詰まれば野党第一党に政権を譲るのが憲政の常道です」と穏やかに迫ればいい。  さて、それをやるのは誰か。泉か、はたまた他の誰かか。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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