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北朝鮮のミサイルが全米を射程圏内に。東アジアで予防戦争が起きるのか?

―[今週の顔]―

新型ICBM

北朝鮮

3月24日に発射された新型ICBM「火星17」の射程は1万5000㎞。首都・ワシントンを含む米国本土全域を射程圏内に収める。金正恩総書記率いる北朝鮮と米国の対立は激しさを増す 写真/AFP=時事

「次元の異なる深刻な脅威だ」  3月24日、北朝鮮が新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星17」を発射したことを受け、岸信夫防衛相はこれまでになく強い口調で語った。  ロシアによるウクライナ侵攻の陰で、北朝鮮は2月27日以降、3度もミサイルを発射。そして4度目の今回、米国全土を射程圏内に収めるほど、性能が向上していることが確認されたため、一気に緊張が高まったのだ。コリア・レポート編集長の辺真一氏が話す。 「今、北朝鮮が一丸となって取り組んでいるのは、4月15日の故・金日成主席の生誕110年記念日にあわせ、軍事偵察衛星を打ち上げること。新型ICBM発射も、その流れとみていい。G7や韓国大統領選に合わせたわけではない。  北朝鮮は今さら国際社会からどう思われようが気にしません。しかし、期せずして米国はロシアだけでなく、北朝鮮の脅威とも向き合わなければならなくなったと考えていい。まさに前門の虎、後門の狼です」

日本が巻き込まれる可能性

 偵察衛星打ち上げに成功すれば、米国本土へ精度の高い攻撃が可能となる。 「これまで北朝鮮が日韓と交戦するのはあまり現実味がなかった。韓国と戦争をすれば共倒れに、日本とは領土問題を抱えておらず、戦争をする理由がない。  しかし、米国が核の脅威に晒されるとなれば、状況は一変。米国は、イラクが大量破壊兵器を保有していると決めつけて攻撃したように、脅威を事前に取り除くための『予防戦争』に踏み切るかもしれない。そうなれば、日本が巻き込まれるのは必至です」  一方で現在、膠着状態に陥っているロシアのウクライナ侵攻では、北朝鮮が軍事支援するシナリオもあるという。「ロシア軍はシリアで傭兵を集め、ベラルーシにも参戦を要請している。ただベラルーシの兵力は数万人規模。北朝鮮の兵力はロシアの90万人より多い120万人。北朝鮮が動けば、戦況は大きく変わる」 ウクライナの次は東アジアに危機が迫るのか? =====
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北朝鮮の海外派兵
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