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ロシア事業継続でユニクロは社会の認識を完全に見誤った。「そもそも営業継続は困難だったはず」だが

―[今週の顔]―
ロシア撤退企業

冷戦終結の象徴として’90年にロシアに進出したマクドナルドは、批判の声に押されて3月8日に全店閉鎖へ 写真/時事通信社

欧米に比べて撤退が遅れる日本企業の資産もロシアが国有化か?

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して間もなく3週間。欧米主導でロシア制裁が続くなか、多くのグローバル企業が“脱ロシア”を進めている。英石油大手BPは先行して2月27日に撤退を発表。3月1日にBMWがロシアでの生産と輸出停止を決めると、自動車各社が追随した。同じく1日にはアップルがロシアでの販売を停止。ナイキなどの世界的小売ブランドも後を追うように続々と販売停止を発表した。12日にSWIFT(国際銀行間通信)からロシアの主要7行が排除されたが、民間企業は制裁に先行してロシア排除を進めてきたのだ。が、例外も……。

ユニクロは社会の認識を完全に見誤った

「衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利がある」  3月7日付の『日経新聞』で、このようにロシア事業の継続を表明したのはユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長。「戦争は絶対にいけない。あらゆる国が反対すべきだ」とも語ったが、駐日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏が「残念だ!」と不満を表明したこともあって大炎上。SNS上では不買運動を呼びかける投稿も殺到し、数日でユニクロは営業停止へと方向転換を迫られることとなったのだ。  外資系証券幹部が話す。 「今やロシア排除は企業利益よりも優先される。NY州年金基金がマクドナルドにロシア事業停止を求める書簡を送ったように、社会的責任の達成度を投資の一つの指標にする投資家が多いため、マックやスタバなど撤退表明が遅れた企業ほど売り込まれている。ユニクロは社会の認識を完全に見誤った」
ロシア撤退企業

11日にはロシアのユニクロでルーブル紙幣をばら撒く騒動も 写真/時事通信社

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そもそも営業継続は困難
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