お金

サイゼリヤだけがなぜ強い? 円安&原料高で外食チェーンの苦境が続くなか

アジア事業で25.8億円の黒字

サイゼリヤ

筆者作成

 同じく直近の決算を見ると、サイゼリヤはアジア事業でおおよそ25.8億円もの黒字を生み出していました。国内の赤字とほぼ同程度の黒字です。サイゼリヤの海外戦略は出店数からも見て取れます。    2021年9月から2022年2月にかけて国内の新規出店は21店舗。若干期間のずれはありますが、海外では同時期に倍以上の50店舗を出店しています。特に力を入れているのは上海です。なんと、上海だけで日本国内とほぼ同数の20店舗も出店していたのです。    当然、店舗数で見るとまだまだ日本国内の方が多く、2021年上期段階で国内は1095店舗なのに対し、海外は453店舗のみ。  好調とはいえ、海外店舗数は日本の半分にも満たない数です。しかし、その決して多くはない海外の店舗が今、サイゼリヤを支えているのです。  

国内利益ゼロでも、36億円の利益を生み出すモンスター

   海外での業績が好調なサイゼリヤ。さらにこの状態は、円安すらも味方につけられる利点もあります。円が安いということは、海外通貨を日本円に変える場合に、より多くの日本円を得られるということです。  特にサイゼリヤが好調な中国では人民元の高騰が進んでいます。サイゼリヤは円安・元高の為替によって海外の利益を2.5億円も伸ばしています。    そんなサイゼリヤ、来期の業績は、国内事業は赤字を逃れられさえすればよいという予想を示している一方、海外の営業利益予想はアジアで34億円、オーストラリアで2億円となっています。つまり、国内で利益を出せなくても海外で利益を出せればよい、それが現在の同社の考えなのです。  ここで一つ疑問が浮かびます。ならば、他の国内大手外食チェーンもサイゼリヤのように海外拠点を作って経営を安定させればいいのでは? そう思った方も少なくないでしょう。しかし、これがそう簡単なことではないのです。
次のページ
すぐに海外展開できるほど外食チェーンは甘くない
1
2
3
おすすめ記事