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余命わずかの人に寄り添う“終末期ケア”の悲痛。生きた証が消えていく

働く側のメンタルケア

 通常の介護に比べて、患者の死に直面する機会が圧倒的に多いターミナルケア。このような環境下では、ヘルパーに対するメンタルケアも必要になってくるとHさんは語った。 「利用者さんが亡くなる姿を見ることは何度経験しても辛いですが、そこも含めてターミナルケアなので受け止めるしかありません。それでもやはり落ち込んでしまうヘルパーも多いので、事前に利用者さんの体調などの状況をしっかりと伝えています。利用者さんが最期を迎えた時の、ヘルパー側の精神的負担を軽減させてあげるためにも、状況だけは確実に把握してもらう必要があるのです」  利用者さんの状況の伝達を続け、従業員のメンタルをケアしてきたHさん。しかし、それでもトラウマになってしまうヘルパーもいるという。 「奥さんが長い間寝たきりで、旦那さんがずっと一人で面倒をみてきた80代の夫婦のお家で起きた出来事でした。高齢の旦那さんは、奥さんの面倒は自分がみると頑なだったのですが、今までやってきた簡単な料理がきつくなってきたようで、自分のできなくなったことだけを依頼されたんです。  台所が汚かったので、まずはサービスとして台所を綺麗にするところから始めました。すると、その様子を見た旦那さんが『こんなにケアをやってくれる人たちがいてよかった。あんたたちに今後は任せる』と言ってくださったのです。信頼してもらってよかったと安堵し、今後奥さんの介護全般を任せてもらえると思い、スタッフ一同喜んでおりました」

しかし突然の悲劇が…

 自分にしか自分の奥さんを介護できないと思っていた旦那さん。そんな彼が頼りになるヘルパーと出会ったことで、大きな気持ちの変化があったようだ。 「そういう話をしてもらった数日後、旦那さんが他界されました。介護することが当たり前となっていた旦那さんが、任せられる人を見つけたことで一気に今までの疲れが出たのでしょう……。私たちが介入したことで死を早めてしまったのではないかと、私自身とてもショックでした」  第一発見者は、訪問介護に訪れた自社のヘルパー。奥さん想いの旦那さんは、歩けなくなった奥さんには絶対見られない位置で息を引き取っていたそうだが、第一発見者のヘルパーはショックを受け、しばらくトラウマになってしまったそうだ。 「残された奥さんの介護は私たちの会社が任せられることになったのですが、第一発見者のヘルパーは、しばらくその家に入れなくなってしまいました。ただ、期間が空いてしまうと復帰がより難しくなると考え、他のヘルパーと一緒に行ってもらうと徐々に慣れていくことができて……。今はしっかりと奥さんの介護をこなしています。ヘルパー側のメンタルをサポートする難しさを感じた出来事でした」  このような介護現場において、突然の他界は少なくないことだという。ヘルパー側の精神的なケアも、ターミナルケアを続けていくうえで大切なことであるとHさんは語った。  ターミナルケアを行うヘルパーは「1人の人生の最終的な充実度を決めている」と言っても過言ではない。自分のためにも大切な家族のためにも、終活について今から考えてみてはいかがだろうか。 取材・文/みなもとひかる
お酒は飲めなくてもおつまみ大好き。趣味はゴルフ・筋トレ・パチンコ・神頼みの自称清楚系純情女子ライター。長所は諦めが悪いこと。「なせばなる」「なんとかなる」をモットーに、何事にも全力で取り組みます!  Twitter:@minnapikapika
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