更新日:2022年06月13日 19:24
お金

「餃子の王将」値上げラッシュの苦境に“逆王手”をかける過去最高売上のナゾ

そもそも、客数が増えていた!

餃子の王将

公式ホームページより

 餃子の王将の好調の理由を探るために、値上げを実施した先月5月のデータをもう少し紐解いていきます。5月の客単価は前年同月比で101.7パーセント。値上げしたことを踏まえると客単価の伸びは決して大きくはありません。  むしろ、好調の理由は客数の方にあります。  5月の客数は同じく前年同月比で見ると118.3%。値上げしたにも関わらず大きく伸びているのです。客数増加の背景には、テレビのバラエティー番組に取り上げられたこと、割引等の各種特典を受けられるスタンプの2倍押しキャンペーン、生ビールの値引きセールなど、複数の要因があります。  またテイクアウト・デリバリーの充実も売上を後押ししています。2020年3月段階では100店舗以下でしたが、今年3月の段階で560店舗がデリバリーに対応。  現在、餃子の王将はフランチャイズを含め約700店舗なので、すでに過半数の店舗でデリバリーサービスに対応している状態です。買って帰ることのできるチェーン店として餃子の王将は定着してきているのです。その結果、テイクアウト・デリバリーの売上はほぼ全ての月で前年同月比100%超えとなっています。  そしてもう一点、餃子の王将が非常に力を入れているポイントがあります。この点こそが餃子の王将が客数を伸ばし、多くの人に選ばれている最大の理由です。

「腹減った。王将いこ?」ブランド力の強さ

 餃子の王将が値上げにも負けずに客数を伸ばせている最大の理由、それは量が多く美味しいから(京都で大学時代を過ごした筆者も王将の大ファンです)。数十円の値上げ程度ではお客さんから見ても納得感のある範囲にとどまっているということです。  非常に単純な理由にも見えますが、当然これは餃子の王将の企業努力があってこその境地です。  餃子の王将は「人にしか創り出せない価値」に非常に重きを置いています。その一環として「王将調理道場」という調理技術を学ぶことのできる研修をLIVE配信。オンライン受講者は3万人を超えており、料理のクオリティを日夜高めて餃子の王将の美味しさを支えています。  この他にも店舗運営やマネジメント、もしくは王将の哲学を学ぶ研修などスキルや知識を学ぶ機会が複数用意されています。質の高いサービスを提供し続けられているのは餃子の王将が人材教育に力を注いでいるからこそです。
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王将でしか食べられないメニューと味
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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