ライフ

獄中で見た性犯罪者たちの異常な素顔。刑務所での更生に期待できないワケ

「堂々とやれば暴行にはならない」という歪んだ認知

 ほか、アルコールの勢いで事を起こす輩はもちろん、「堂々と男らしくやれば許される」と本気で思っているタイプもいたとか。 「柔道の某金メダリストみたいな感じでしょうか。レイプだと思っていないんですよ。『いいじゃん、いいじゃん』と言ってなし崩しにやれば許されると勘違いしている輩がいる。元暴走族にもこのタイプが多くて、しかも彼らは押しに弱い女性を見極める精度がものすごく高いんですよ。  今は懐かしのSNS『ミクシイ』で、地元のヤリマンを根こそぎ食ったという話を自慢げにしているのですが、今で言うネットナンパのような感じで会い、ユルそうな女性なら密室で15分ぐらい話した後に、なし崩しに押し倒す。よく聞いたらレイプなんですけどね。  そして、私が接した性犯罪者のほとんどは、事後に同意があったと勘違いしていました。女性側がそれ以上の加害を恐れておとなしくしているのを、合意されているものと思って犯行に及ぶんです。前出のAは、忍び込んでレイプした後に被害者とベッドでイチャイチャしたので同意があったと思ったとか」  家宅に不法侵入し、かつ性的暴行を加えて同意を得られたと思い込めるのは理解し難いが、みな全般的に自分に都合の良い解釈をしがちだとPrisoner氏は話す。  むしろ、総じて被害者意識が強く「『俺はこうじゃなきゃ興奮できないのに』とか、『なぜみんなやってるのに俺だけ捕まるんだ』と思っている」という。また年代的にも差が見られたというが、特に50代前後の性犯罪者は被害者に対し「逆ギレ」しているケースが多かったとか。

暴行した被害女性に対し「許せない」

「デリヘル嬢に覚醒剤を混ぜたローションを使った上、パソコンで盗撮していたとして捕まった50代の男は、何故か私に被害者の住所やフルネームなど個人情報を全部教えながら『ここまで知っている間柄だから、合意の上だった』と主張していました。『さんざん指名してやったのに訴えやがって』とも言っていましたね。  よくわかりませんが、手塩にかけて育ててきた作物を収穫する感覚に近いのだろうと思いました。レイプをしたという自覚はあるが、丹精込めて育ててきたんだから摘む権利があるだろうという考えなんです。  そして普段、『一軍』の前ではおとなしくしているくせに、僕があと少しで娑婆に出ると知ったら、『あいつ(被害者)だけは許せないから報復してくれ』などと普通に言う。女性を下に見てるんですよ。いじめられっ子のくせに先生にチクりやがって……というのと同じなんです」  また、義理の父親による性加害も多いが、連れ子を数年間に渡りレイプしていた40代後半の男は、「誰のおかげで生活できてたと思ってんだ」「俺が養ってやってたんだぞ」と居直っていたという。 「私が今、LINEでやり取りしている相談者は小学校2年生から中学校3年生まで、同居している母親のパートナーにずっとイタズラされていた人で、いずれユーチューブなどで有名になって報復したいんだと言ってました。そういう人からの連絡は多く、やっぱりよくある話だなと思いますね。母親にはほぼバレているのですが、生活基盤を失うのを恐れて見て見ぬふりをされているケースが多いです」
次のページ
刑務所の中は、「新しい犯罪の勉強会」
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ