関ジャニ∞が18周年でみせた最高のエンタテインメント
今年の夏でデビュー18周年を迎える関ジャニ∞が、野外ライブ「18祭」を開催した。7月16、17日に神奈川「日産スタジアム」、7月23、24日に大阪「ヤンマースタジアム長居」の4日間で、累計25万4千人のファンを動員した、まさにモンスター級のお祭りだ。
特に「日産スタジアム」でジャニーズがライブを行うのは、SMAP以来、実に16年ぶりのことだという。16日はあいにくの雨だったが、17日は打って変わって晴天に恵まれた。7万2千人のエイター(関ジャニ∞ファン)がスタジアムを埋め尽くすなか、まずは花火の打ち上げ準備をする5人の映像が流れる。
大倉の「打ち上げますか」とセリフとともにスタジアムに花火の音が鳴り響くと、高さ25メートルの上空デッキから、横山裕、村上信五、丸山隆平、安田章大、大倉忠義の5人が登場した。
そして「ここ日産スタジアムにて、18祭いざ開幕!」と丸山が開会宣言をすると、1曲目の『無責任ヒーロー』から『がむしゃら行進曲』『前向きスクリーム!』など関ジャニ∞の王道ソングを怒涛の連続披露。ムービングや複数ステージを縦横無尽に駆け回りながらノンストップで盛り上げれば、序盤から会場のボルテージは最高潮に。『CIRCLE』でのアオハル(青春)っぷりが、夕暮れの爽やかな気候にぴったりで、祭りへの期待感はどんどん高まっていく。
続く、ジャニーズメドレーは、大倉がプロデュースするなにわ男子の「初恋LOVE」でスタート。ピンクの衣装に身を包みスウィートボイスでコミカルに笑わせたと思えば、一転してSixTONESの「マスカラ」で大人っぽい色気を振りまく。さらに、ダンス難易度が高いことでも知られるSnowManの「D.D」を踊り切ったあとには、大倉から丸山へ「ダンスちゃんと覚えて!」とツッコミが入り、会場を笑わせた。
その後も、新旧問わず選曲された全18曲のジャニーズカバーを披露。これだけバラエティに富んだ楽曲をやり切る能力の高さは言わずもがなだが、すべてのパフォーマンスが関ジャニ∞らしい楽しさに溢れているのが素晴らしかった。
このあと、今回のツアーでバックダンサーを務めたLilかんさい、AmBitious、Boys beら関西ジャニーズJr.たちのパフォーマンスに繫がるのだが、17日の公演にはサプライズでAぇ! groupが登場。大倉が作詞、安田が作曲を手がけた『Can’t stop』を披露するなど、長男の関ジャニ∞から連綿と続く関西ジャニーズの強い絆を感じさせた。
後輩たちの呼び込みで再び登場した関ジャニ∞の5人は、夏らしい鮮やかなブルーの衣装に。『罪と夏』にはじまり、『Dear Summer様!!』『クラゲ』『オモイダマ』と続く夏ソングメドレーは、総重量50tの水が20m以上も噴き上がるウォータースプラッシュとトロッコ演出で、ド派手に盛り上がる。メンバーもずぶ濡れになり、途中で長い濡れ髪をひとまとめにした安田のセクシーな男ぶりがなんとも印象的だった。
ほぼノンストップで続いたライブは、ここで小休止。MCコーナーの水分補給の場面で横山と村上のコミカルなやりとりがあると、丸山、安田、大倉の年下メンバー3人から「夫婦漫才や!」のツッコミが入る。
続くMCでも村上は「こんなに素敵な体験をさせていただいて、ほんまにみなさんに感謝しかない。僕らは何でもやるグループですので、夫婦漫才もやれば……」とポロリ。すかさず「夫婦って認めんのや!」とツッコまれると村上も「今日はしょうがないわ」と返した。それを聞いた横山は「旦那気取りするなよ、どっちかと言うと俺が旦那やと思ってるからな」と応え、関ジャニ∞のお兄ちゃんコンビとしてこれまで夫婦扱いされてきた二人の“夫婦”公認宣言に、7万2千人のエイターからどよめきがあがった。
そんな和やかムードのまま、18祭フェスコーナーへと突入。事前のファン投票で選ばれた「踊!SONG」と「レアソング」や、ライブの1コーナーから始まり、映画にまでなった「エイトレンジャー」、CMでの女装姿が話題になった「キャンジャニ」の楽曲も久々に披露。「なんでもかんでもやるグループですので」と村上が話すように、改めて関ジャニ∞の懐の深さを感じさせた。
気づけば陽は沈み、すっかり夜に。真っ暗なステージにバンドセットが浮かび上がる。奇しくもこの前日、ジャニーズバンドの先駆けでもある男闘呼組が29年ぶりの復活を果たしたばかり。ジャニーズバンドの現在地を示す関ジャニ∞は、どんなステージを見せてくれるのだろうか。
まずはWANIMAの提供曲である『ここに』。4年前、6人体制になって初めて彼らがリリースしたシングル曲を、5人の関ジャニ∞で披露すると、『ローリング・コースター』『夕闇トレイン』『BJ』『ズッコケ男道』『勝手に仕上がれ』と野外ライブならではの熱のこもった演奏で盛り上げていく。
現在の関ジャニ∞によるバンドサウンドにおける、横山の存在は大きい。これまでバンドでは管楽器と打楽器を担当していた彼は、前回ツアー『Re:LIVE 8BEAT』からギターを兼務。5人編成になり、ギターが安田ひとりになってしまったことから、「僕しかおらへんな」と思ったのだという。ギターに本格的に挑戦しはじめたのは去年だが、この日のステージでは全7曲でギターを務めるまでになっていた。バンドとしても音に厚みを増し、関ジャニ∞の新しい武器になったといえるだろう。バンドコーナーの最後を飾ったのは、最新シングルの『喝采』。歌詞にある「Age is just a number(年齢なんて関係ない)」の言葉が歩みを止めない彼らの姿に重なっていく。
再び浴衣姿に着替えた5人がステージに登場し、それぞれの色のペンライトで彩られた客席に向かって感謝を述べる。村上が「やっと18年、まだ18年、もう18年。色々なとらえ方があると思いますが、僕は“まだ”18年だと思っています」と周年コンサートらしく道のりを振り返ると、今年4月から難聴と耳鳴りのために活動休止していた大倉は「皆さんの前にこうして立てて本当に幸せです。この3年でライブができなかったり、諦めそうになるようなこともありましたけど、諦めずに走ってきてよかったなと心から思います」と溢れる思いを丁寧に伝えた。そしてラストソングは『青春FIREWORKS』。関ジャニ∞の成人式を祝うように、800発の打ち上げ花火がド派手に祭りを締めくくった。
8月13日に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022」に参加する関ジャニ∞。ロックフェスへの出演は『METROCK2017』以来2度目となるが、前回はキャッチーな楽曲群と多彩でアクトぶりでアウェイの観客からも好評を得た。きっと今年の出演も気合が入っていることだろう。対して「18祭」はまさしく、ファンのためのお祭りだった。ライブ活動を継続しているジャニーズのグループでは、すでにデビューしてからのキャリアはKinki Kids、NEWSに次ぐ関ジャニ∞。演歌でデビューし、ダンス、バラエティ、そしてバンドへの挑戦……道なき道を切り開き続けた彼らは、いつしかジャニーズエンタメを体現する存在になっている。それだけ圧巻のステージだった。
取材・文/森野広明 撮影/後藤 巧
ジャニーズメドレーではらしさ全開
現在の関ジャニ∞によるバンドサウンド
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ