更新日:2022年09月26日 18:20
スポーツ

暑い日には何を飲むのがいい? スポーツ医学から見る「最適な夏の飲料」とは?

熱中症予防で気をつけたい「脱水」

夏

写真はイメージです

 今年の夏は暑い! 毎年のようにそう思うが、今年はどうやら気のせいではなく、本当に暑い模様だ。総務省が7月27日に発表した、6月中の熱中症による救急搬送人数は1万5969人で、2021年比のなんと3倍超。統計を取り始めた2010年以降でも最多の数字になったと言う。7月後半からまた暑さが激しくなり、8月に入って緩む気配はほとんどない。  こう暑いと、気になるのが「脱水」だ。  スポーツ医学を専門とし、国立スポーツ科学センター在籍時には同センターにおける東京五輪に向けた暑熱対策プロジェクトを立ち上げ、多くの競技団体、トップアスリートに対し、暑熱対策に関する医化学的なサポートを行った経歴を持ち、最近アスリートや一般人の「暑さ対策」を、最新のスポーツ医学の視点から解説した『暑さを味方につける[HEAT]トレーニング』を上梓した中村大輔氏(現日本サッカー協会、フィジカルフィットネステストプロジェクトメンバー)は、こう語る。 「『脱水』とは、体の水分(量)が不足している状態を指します。汗をかくことで体水分量が減少すると、体温が上昇しやすい状態になってしまうことを意味します。そのため、熱中症のリスクも高まります。また、アスリートや肉体労働をする人の場合、体水分量の減少は、身体中の主な水分である血液量が低下するということなので、心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量も低下します。身体が動くためには、血液を筋肉など必要な部位に行き渡らせる必要があるので、これを補うために心拍数を増加します。心拍数が増加すると、いわゆる“つらい”状態になり、疲労感が高まるのです。そのため、アスリートも一般の人も『脱水』しないようにすることが大切です」

体重の1.5%の減少は脱水のサイン

 中村先生曰く、脱水量を把握するためには毎朝の体重測定が重要だと言う。 「毎朝、おしっこをした後に継続して体重を記録しましょう。摂取カロリーを変化させずに保った場合、1日の体重変動は1%以内で変動します。そのため、個人差はあると思いますが、特に食事制限などをしていないのに、前日比で体重の1.5%以上体重が減っていたら、『脱水』状態になっていると考えていいでしょう」  脱水状態になった場合、当然ながら適切に水分を摂取することが重要だ。
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何を、いつ飲めばいい?
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筑波大学で学位を取得後、国立スポーツ科学センター、立教大学、株式会社ウェザーニューズを経て、現公益財団法人日本サッカー協会、フィジカルフィットネスプロジェクトメンバー。専門はトップアスリートのコンディショニングおよび運動生理学。国立スポーツ科学センター在籍時には同センターにおける東京五輪に向けた暑熱対策プロジェクトを立ち上げ、多くの競技団体、トップアスリートに対し、暑熱対策に関する医化学的なサポートを行った。20年以上の競技現場での指導経験を有することから競技現場と研究の橋渡しとしての役割も積極的に担う。2016年リオデジャネイロ五輪サッカー日本代表をはじめとした国際大会に、コンディショニングサポートスタッフして帯同。日本サッカー協会公認A級コーチ、アジアサッカー連盟公認フィットネスコーチレベル2、CSCS。

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暑さを味方につける[HEAT]トレーニング

「暑さ」はもはや敵じゃない!

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