お金

輸入車の謎カテゴリ「オーストラリア車」の魅力とは

ファルコン

ファルコン

 ファルコンは、フォード・オーストラリアの中で最も安価な価格帯に位置するセダンといったポジション。90年代のオーストラリアでは、タクシーの多くがこのファルコンだったといえます。  内外装は、先程のフェアレーンと比べると明らかに質素なファルコンですが、意外なのは、搭載されるエンジンのラインナップがLTD/フェアレーンギアと全く同じという点です。  日本車でもヨーロッパ車でも、高級車と大衆車とでは搭載されるエンジンが違うというのが当たり前ですが、90年代当時のオーストラリア車はそうではなかったのです。  まったくもって「大衆車そのもの」といった見た目であるファルコンですが、搭載されるエンジンが、4.0L(前期は3.9L)直6か5.0LのV8というのが面白いといえます。 さらに、それはタクシーでも同様。ファルコン(EB)のフェンダー部分には、排気量を示すエンブレムがあったのですが、タクシーに乗る際「4.0」と書かれたエンブレムを見た私は、こんなタクシーでも4リッターなのか!と驚いた記憶があります。  また、先のフェアレーンギア等と同世代のファルコン(EB)は、オプションで5.0V8までもが選べるわけですが、内外装はV8エンジン搭載車とは思えないほど質素というのが面白いところであります。

タクシー仕様のファルコン(映画「ファイナル・プロジェクト」より)

フェアモント/フェアモントギア

フェアモントギア/フェアモント

 このフェアモントは、フェアレーンとファルコンの中間といったポジションに位置する車種。「ギア」がつかない方のフェアモントは、ファルコンのような質素な内装である一方、フェアモントギアのほうは、メーターパネルがフェアレーン系と同じデジタル仕様となったり、リモコン付きのハンドルが与えられるなどしていました。  なお、この「ギア」というのは、当時のフォード・オーストラリアで「上級グレード」を示すのに積極的に使われていましたが、もとはというとイタリアの「カロッツェリアギア社」のことであります。  カロッツェリアギア社は、VWのカルマンギアや、フェラーリ250などを手掛けた名門コーチビルダーだったわけですが、1970年代にフォードに買収されてからは、フォードの上級グレードを示す名前として使われるようになっています。 70年代には、マスタングIIの上級グレードに「ギア」が存在したわけですが、90年代になると、アメリカのフォードではあまり見かけず、フォード・ヨーロッパで一部車両に見られるぐらいとなっていたといえます。  それに対して、フォード・オーストラリアは「ギア」グレードを後年まで最も積極的に採用していたわけですが、かつてのフェラーリやマスタングIIといったスポーツカーとは異なり、このフェアモントギアといった地味なセダンに「ギア」のエンブレムがつけられている姿は、なんとも意外性があってたまらないと思います。
次のページ
オーストラリア国内でも希少車
1
2
3
4
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ